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田中 ― One-Cut-Story ―  作者: MMPP.K
6cp

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58cs 「同じ通り道」

 毎朝、見かけるあの人がいる。


 駅の改札を抜けたすぐ先、コンビニの前の横断歩道。

 信号が変わる直前の、あの数秒だけ重なる場所で、なぜか同じタイミングですれ違う。


 目が合うわけでもない。挨拶もない。

 ただ、同じ朝の流れの中に、同じ輪郭が差し込まれる。


 服のよれを一瞬だけ整える。

 歩き方が変じゃないか、手の位置は落ち着いているか、通り過ぎる直前だけ意識が遅れて追いつく。


 人の流れに押されながら、角度だけを少し変えて通り過ぎる。

 すれ違ったあと、今の顔、覚えてしまったかもしれない。


「見てた?」


 改札前、パン屋の前、ビルの影に入る手前。

 関わる理由はないのに、すれ違う、何も始まらない、知っている気がする他人が増えていく。


 名前も知らないまま、今日もまた通り過ぎる。

 


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