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田中 ― One-Cut-Story ―  作者: MMPP.K
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57cs 「読売中高生新聞」

 読売中高生新聞を読んでいるのは、私だ。


 今日も先に読んでしまった。


 テーブルに置いてある。

 いつも、娘が座る場所に。

 まだ、紙がぴんと張っている。


 指で端をつまむ。

 音を立てないように、ゆっくりめくる。


 紙が、小さく鳴る。

 思ったより大きくて、一度止まる。


 ……誰もいない。


 もう一枚、めくる。


 最初は、そこだけのつもりだった。

「勇者ミー太郎の大冒険」だけ読んで、閉じるはずだった。


 ……この新聞、けっこう好きだ。


 目が、次を追う。

 指が、勝手に端を探す。


 めくる。

 また、めくる。


 途中で、向きを揃える。

 ズレたまま戻すのが怖い。


 気づくと、全部読んでいる。


 どこまでが娘のためで、

 どこからが自分のためなのか、分からなくなる。


 そっと元の位置に戻す。

 角を揃えて、空気を抜くみたいに押さえる。


 まだ誰も触っていないことにする。


 端、ほんの少しだけ、温かい。

 


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