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51cs 「不幸の話し」
「金がなくてさ」
「それはしんどいな」
「いや、ほんまに。あの人のせいでさ」
「それはしんどいな」
子どもがどうとか、仕事がどうとか。
タイミングがどうとか。
話は違うのに、返す言葉は同じになる。
「それはしんどいな」
うなずく。
ちゃんと聞いている顔をする。
それ、自業自得ちゃうか。
頭の中でだけ、そう言う。
口には出さない。
言っても、何も変わらないし、たぶん面倒になる。
また、別の人が話し始める。
「最近ほんまに金がなくてさ」
「それはしんどいな」
どこからがさっきの話で、どこからが今の話か、わからなくなる。
似たような言葉を、自分も使っていた気がする。
金がない、とか。
あの人のせいだ、とか。
向こう側にいた記憶と、こっち側にいる今が、うまく分かれない。
「それはしんどいな」
口に出してから、少しだけ遅れて気づく。
これ、誰に向かって言ってるんやろ。
「まあ、自業自得か……」




