表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
田中 ― One-Cut-Story ―  作者: MMPP.K
5cp

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
51/56

50cs 「靴下の距離」

 

 朝、靴下までの距離が、やけに遠く感じた。



 朝、靴下をはこうとして、止まる。


「……っ」


 手は届いているのに、届かない。

 触れた瞬間、体の奥で何かが拒む。

 それだけの動作が、続かない。


 顔を洗う。椅子に座る。振り向く。

 そのたびに、一拍ずつ遅れる。


 世界が、薄くなっている。


 触れたら、自分の方が壊れそうだ。

 触れられるはずの距離にあるのに、触れない。


 夜になると、さらに世界は狭くなる。

 寝返りを打とうとして、途中でやめる。


 やめたはずなのに、遅れて痛みだけがやってくる。

 さっきの自分から届いたみたいに。


「……っ」


 声にならない声が、喉の奥で引っかかる。


 目が覚める。

 また、覚める。


 朝までに、何度も同じことを繰り返す。


 眠る、という行為がどこかに落ちてしまったみたいだ。


 失くしたのは、大げさな何かじゃない。

 ただ、何も考えずにできていたこと。


 それだけが、きれいに消えていた

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ