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俗に言う出会いは最悪ってやつだ  作者: ルーラブ


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9/12

生徒会招集

選挙戦から二日後、新メンバーでの生徒会執行部が発足した。


放課後15時35分に生徒会室に集合という連絡を先生から貰い、重い足取りで生徒会室に向かう。


「どうしてこんなことに・・・」


本来なら今頃自由の身だったはずなのに、思いもよらぬ形でその時間を奪われることになってしまった。


「まあ、元気出して行こうぜ!せっかく当選したんだし」


今回の張本人である陽斗はとにかく一真を励まそうとするが、そんな声何一つ届かない。


一真がこれだけ気分が優れないのはもう一つ理由があった。それは当選発表から今日に至るまで、日に日に届く不穏な情報にあった。


「なんか、浦木さん泣いてたって」


当選発表当日の2限前の休憩時間、トイレに向かう途中に他クラスの女子が廊下でそう噂話をしていたのを小耳に挟んだ。


それからなんとなくクラスの女子に探りを入れると、選挙の結果発表を見た直後の姫乃がトイレの個室でひっそりと涙を流していたのを数人の女子生徒が目撃したらしい。


それが密かに噂になっていたらしく、一真は"女子を泣かせた最低男"の称号を獲得してしまったらしい。その日1日は何をしても「まあ女子泣かすぐらいだからな〜」とイジられるのだった。


そして翌朝、今度は昨日話していた女子生徒からひっそりと「なんか、浦木さん一真くんに対してめっちゃ怒ってたよ。なんか友達に対して凄い愚痴話してた・・・」とタレコミを貰った。


その話を隣で聞いていた陽斗が「愚痴ってどんな愚痴?」と尋ねると、女子生徒は若干姫乃の声と表情を真似ながら


「あれだけ学校を変えるって言ってたんだから公約実現するように有権者として絶対に監視しておかないとダメね。全校生徒の前で宣言したんだから天変地異があろうと何があろうと成し遂げさせないと気が済まないわ。もちろん副会長の私はそんな公約一切掲げて無かったから一切手伝わないけどね。」と聞いたままの言葉をそのまま話した。


そして女子生徒は他にも・・と話を続ける。


「そもそも、選挙の時アイツ遅刻してきたのよ。もちろん他の生徒はそんなこと知らないと思うけど私その時から目を付けてたのよね。控え室でも空気読まずに喋ってるし周りのみんなが迷惑していたわ。って言ってたり・・・」


女子生徒は他の悪口も思い出そうとしていたので「分かった。もういい」と一真は涙ぐみながら静止するのだった。


「どんまい。明日が楽しみだな」


「防弾チョッキ買っておこうなか」


と明日の自分を憂いる事になったのだ。


そして時が経ち憂いていた自分になってしまった今現在。


十字架に自ら向かうイエスキリストさながらに、一真は生徒会室という処刑台に歩みを進めていたのだ。


廊下を歩いてすれ違う友人全員に「ま、頑張れよ」と軽くイジられながら、逃げる訳にも遅刻していく訳にも行かない、逃れる術のない処刑台に歩みを進める。


そして職員室のある新校舎の3階までの階段を登り、少しだけ息切れしながら生徒会室の前に到着した。


廊下の端っこに黒い2枚の扉が佇んでいた。ここが生徒会室の入り口だ。


この扉を開けると、そこには確定で俺に対して怒っている浦木姫乃が存在すると思うと、この扉は魔王城の扉のように思えてくる。マリオのクッパ嬢の扉のようなものだ。


しかしマリオと違って扉の周辺に決戦に備えたアイテムを与えてくれる透明ボックスなんてないし、初期装備のままあの悪魔と戦わなければならない。


「一真・・・」


「分かってるよ」


モタモタしている時間はない。扉のドアノブに手を掛け、勢いよくその扉を手前に引いた。


中からは悪魔のオーラは流れ出てこず、代わりに明るい白色のLED照明の光が無機質に出迎えてくれた。


そして教室より1.5倍ほどの広さにある生徒会室の中央に鎮座する長机にポツンと佇む人影を発見した。


顔を見るのは選挙戦以来だろうか、姫乃と応援演説を務めていた日菜が椅子に腰掛けていた。


一真達が来るまでは会話していたようだが、扉の開く音がしてからは会話を辞めてしまったらしい。


「よろしく〜」


と陽斗が二人に対して挨拶をする。姫乃からの返事は無いが代わりに日菜は少しだけ申し訳なさそうな表情で軽く挨拶を返してくれた。


てっきり、姫乃に噛みつかれたり刺されるのでは無いかと覚悟をしていたのだがこうして面と面を合わせて座ると借りてきた猫の様に大人しく何も喋らない。


今日は先生が来てからミーティングをするらしい。生徒会担当の山下先生が来るらしいのだが、時間になっても中々姿を表さない。


そして当然待ち時間に会話なんて発生せず、大きな空間の中にスマホの液晶画面に爪が触れる小さな音だけが永遠に響くのだった。


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