表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
11/15

【第11話】リザードマンの襲撃とシュールすぎる3分間。天使の『ホーリー・メイクアップ!』

【第11話】リザードマンの襲撃とシュールすぎる3分間。天使の『ホーリー・メイクアップ!』

ポンコツ天使・エルミナが俺のマイホームに居候するようになってから、数日が経過した。

彼女は「命の恩人に報いるため、聖騎士の誇りにかけてご奉仕します!」と宣言した通り、掃除や洗濯などを一生懸命手伝ってくれている。(時々、お風呂のジャグジーの泡に溺れかけたり、冷蔵庫の冷気を顔に浴びて「あぁ、天界の風ですぅ」と現実逃避したりしているが)

おまけに趣味だという手編みで、謎の可愛いコースターやアクリルたわしを大量に量産してはプレゼントしてくれた。

フィリアともすっかり仲良くなり、俺の家は異世界の美少女二人との賑やかで愉快な共同生活の場となっていた。

そんなある日。

俺はフィリアとエルミナを連れて、タローマート(スーパー)へ日用品の買い出しに出ていた。

「マモル様! 今日の特売はシープピッグのひき肉ですよ! これでハンバーグを作りましょう!」

「マモル、太陽芋も安いよ! 買って帰ろう!」

両手に野菜や肉を抱えた二人に挟まれ、平和な買い物を楽しんでいたその時だった。

「——ほう? こんな辺境の緩衝地帯に、なぜ天界の『天使族』がいるのだ?」

低く、しかしよく響く威厳のある声がかけられた。

振り返ると、そこには黒い豪奢なコートを羽織り、知的で整った顔立ちをした銀髪の男が立っていた。背後には屈強な護衛らしき男たちを数人引き連れており、隣には案内役のラミラス村長が冷や汗をかきながら立っている。

「ひぇっ!?」

エルミナがビクッと肩を揺らし、俺の背後にスササッと隠れた。

「ま、魔族ですぅ……! それも、かなりの上位魔族の気配……こわいいいっ」

ブルブルと震えるエルミナを見て、銀髪の男は呆れたように片眉を上げた。

「何を言うか。失礼な奴だな。私はアバロン魔皇国、魔族穏健派のルーベンスだ。視察と交流のためにこのポポロ村を訪れたというのに、天使族から野盗のような目で見られるとはな」

「ルーベンス殿、どうかお気になさらず……。彼女は少し、その、変わり者でして」

村長が慌ててフォローを入れる。

どうやらこの男、三国のひとつであるアバロン魔皇国の超VIPらしい。

「ふん。まぁよい。そこのマモル、貴様もただの村人ではなさそうだな。魔力も闘気も感じないが、妙に隙がない」

ルーベンスの鋭い視線が俺を射抜く。

さすが上位魔族、俺の合気道の歩法(重心移動)から何かを感じ取ったらしい。

俺がどう返答するか迷っていると——。

カンカンカンカンカンッ!!!

突如として、村の広場にある巨大な鐘がけたたましく鳴り響いた。

「なんだ!?」

俺が顔を上げると、村の入り口の方から自警団の団長・ボルグが血相を変えて走ってくるのが見えた。

「村長!! 敵襲だ!! リザードマンの群れが村に接近中! 第一陣、すでに防衛ラインに取り付いてます!!」

「何ィッ!? リザードマンだと!?」

ラミラス村長の顔色が変わる。

「マモル!」

フィリアがカゴを放り出し、背中に背負っていた弓を手にした。

「あぁ、俺たちも迎撃に出るぞ!」

俺も背中に隠し持っていたミスリル製の三節棍を手に取る。

その緊迫した空気を、不機嫌そうな舌打ちが切り裂いた。

「チッ。私がわざわざ足を運んでやっているというのに、襲撃だと? ふざけているな。私の顔に泥を塗る気か」

ルーベンスが忌々しそうに呟き、俺の背中に隠れてガクガク震えている天使に向かってアゴをしゃくった。

「おい、そこの天使族。いつまで震えている。貴様、一応『聖騎士』のオーラを纏っているだろう。震えていないで前へ出ろ!」

「ひぇぇっ!? む、無理ですぅ、私お腹いっぱいで眠いし……」

「馬鹿者! 泣き言を言っている場合か!」

ルーベンスの一喝に、エルミナはハッとして自分の頬を両手でパチンと叩いた。

「そ、そうです! 私はセレスティア近衛聖騎士団! マモル様やフィリア様から頂いたご飯の恩返しをする時……! 震えている場合じゃないわ!」

エルミナの瞳に、強い正義の光が宿る。

彼女は大きく一歩前に出ると、両手を胸の前でクロスさせ、天に向かって高らかに叫んだ。

「神聖なる光よ、我が身を包め……! 行きます! 『ホーリー・メイクアップ!!』」

おおっ! と俺とフィリアが息を呑む。

エルミナの足元に巨大な光の魔法陣が浮かび上がり、荘厳な賛美歌のようなBGMがどこからともなく響き渡り始めた。

眩い光の粒子がエルミナを包み込み、彼女の体がふわりと宙に浮く。

「す、凄い! 聖騎士の鎧に変身するんだな!」

俺がワクワクして見守る中、光のレースがエルミナの髪を美しく結い上げ始めた。

……が。

「(……長いな)」

髪がセットされるまでに約30秒。

続いて、光が手袋の形になって指先からゆっくりと包み込んでいく。これにも20秒。

さらに、靴、すね当て、スカートの装甲と、パーツが一つ一つ、恐ろしくゆったりとしたテンポで装着されていくのだ。

「えっと……あのう、ポポロ村の危機なんですけど……」

報告に来たボルグ団長が、空中でクルクル回りながら着替えているエルミナを見て呆然と呟いた。

俺は無言で、左腕につけていたG-SHOCK(腕時計)のストップウォッチ機能のボタンを押した。

ピピッ。

「……マモルさん。私、ちょっとお花摘み(お手洗い)に行ってくるわね」

「あぁ、気をつけてな。時間はたっぷりありそうだから」

フィリアは弓を置き、タローマートのトイレへと駆け込んでいった。

隣を見ると、魔族の貴公子ルーベンスが深いため息をつきながら、懐から高級葉巻『ポポロシガー』を取り出していた。

シュボッ、と指先から小さな闇の炎を出して火をつける。

「セレスティアの連中は、昔から無駄な演出が多すぎる。実戦向きではないな……」

紫煙をくゆらせながら、ルーベンスは優雅にタバコ休憩に入ってしまった。

緊迫したリザードマン襲撃の警報が鳴り響く中。

俺はストップウォッチを見つめ。

ルーベンスは葉巻を味わい。

フィリアはトイレを済ませて手を洗って戻ってきた。

『神の裁きを、今ここに——!』

シャキィィィン!!

最後に巨大な『聖槍ホーリー・ランス』と『小型聖盾ホーリー・バックラー』がエルミナの手に収まり、光が弾け飛んだ。

「お待たせいたしました! 変身完了です!!」

純白と黄金の聖騎士の鎧に身を包んだエルミナが、ビシッとポーズを決める。めちゃくちゃ格好いい。格好いいのだが。

俺は手元のG-SHOCKの停止ボタンを押した。

「……はぁ。きっちり『3分間』か。カップラーメンができちまうよ」

隣では、ルーベンスがちょうどポポロシガーを吸い終わり、携帯灰皿に火を押し付けていた。

「やっと終わったか、三流劇の衣装替えは。……おい、貴様らも行くぞ」

ルーベンスが黒いコートを翻して歩き出す。

俺もミスリルの三節棍を肩に担ぎ直した。

「よし、準備運動(待ち時間)は十分だ。俺たちも行こうぜ!」

「うんっ! 私たちの村は、私たちが守るんだから!」

すっきりした顔のフィリアも弓を構え直す。

緊迫感があるのかないのか分からない謎のパーティーが、リザードマンの群れが迫る防衛ラインへと向かって駆け出した!

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!

「敵襲なのに変身にきっちり3分かかるポンコツ天使草!」

「腕時計で計るマモルと、葉巻を吸い切るルーベンスの余裕w」

「フィリアちゃん、その隙にトイレ行くなしww」

と少しでも笑っていただけましたら、

ぜひページ下部にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、作者のモチベーションが魔法少女の変身バンクばりにキラキラと輝き出します!

また、ブックマーク登録をしておくと、次回の「マモルの三節棍無双&ルーベンスの共闘! 激熱バトル編」を逃さずチェックできます。

皆様の評価とブクマが、このポンコツパーティーを勝利へ導く最高のバフです!

次回もどうぞお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ