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魔女と鉱石、帰還譚  作者: 空野
Chapitre.2
16/323

2-10

 昼時を過ぎて、支給の昼食を食べた後に、採掘現場から鉱夫が一人、やって来た。

 「採掘用の機械が故障しまして……」

 数台あるので作業が大幅に滞る事はないが、当然修理の必要があると言う。

 「どうします?」

 どうしますと聞かれても雪路にどうにかできるわけもない。しかし、この場で最も立場が高いのは雪路で、一応、補佐期間中はこの地区の責任者のような物なのだから、どうにかするしかないだろう。

 「ええと、じゃぁ、とりあえず残ってる機械で採掘作業を続けて貰って、私は藤埜大尉に報告して来る、で、どうでしょう?」

 「それが良いですじゃろうな」

 年配の書記官も頷くので、ひとまず、雪路は誠の所に報告に行く事になった。

 そうしたわけで、地図を片手に朝の事務室に向かい、見覚えのある鉄の扉をノックする。

 「……どうぞ」

 書記官のものらしい返事があって、雪路はそおっと扉を開いた。

 「失礼します」

 「何だ?」

 書類を睨んでいた視線を一瞬だけ上げて、誠はそう訊いた。

 「あの、地区の採掘用機械が故障したらしくて……」

 返事はなく、書類を睨んでいる誠。

 「修理の手配が必要なそうなんですが……」

 「……手配したのか?」

 「え、いいえ」

 首を振ると、眉間に皺を寄せ、誠は顔を上げた。

 「お前に任せた地区だ。手配が必要だと分かっているなら、何故しない?」

 「え」

 「手配先や費用の申請方法なら書記官達が知っているはずだろう。そこまでやってから報告しに来い。使いだけなら子供でも出来る」

 「……はい、すみません」

 実はちょっと思い付いたけれど、勝手にそこまでやったなら、それはそれで怒られそうだと思ったのだ、という言葉は流石に口に出せなかった。

 不機嫌そうに書類に目を戻す誠に、失礼しました、と声を掛け、雪路はションボリ部屋を出た。

 「……あの人の前だと、何をやっても裏目に出るぅ……」

 カンテラが照らす坑道をトボトボ歩きながら、雪路は心の底から深く溜息を吐いた。



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