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「その呪文…まさか!守護獣の召喚呪文!?そんな高等魔法が使えると言うの!?」
「へ?魔法が呪文で守護獣?ダメだ…俺異国語理解できないわ……」
「お前の頭のほうが理解できねぇよ」
「なにおうぅう!?」
って、今はこんな漫才してる場合じゃない!
明らかに俺が何か言って?してしまったらしく、千沙の怖がりかたが尋常じゃない。平喜の手をそのままに後退りを始めている。痛みに耐え悲しそうな目をする平喜と目が合った。
……あ、御愁傷様です。
俺にも理由がさっぱりなため助けることは無理なんですねこれが。はい。自力での脱出を考えた方がよろしいかと。
「そこの者達何をしている!!」
「待て、不用意に近づくでない。俺の記憶が正しければ、先程このみっともなく背負われている男が発した呪文……危険だ」
「待て待て。お前の言ったみっともなく背負われてる男って俺のことだよな!?これには海よりも銭湯よりも深い訳があってだなぁ…!」
「……そんなに深い理由はなさそうだな」
兵士の視線が冷たい。例えを間違えたようだ。そしてこの下水楼にも銭湯はあるらしい。是非ともお邪魔させてもらいたい。
それにしても、国中ド派手なら人の外見までもド派手になるらしいな。2人の門番兵士の服装は、ふわふわの短めのピンク色の毛に覆われ、瞳は人間のものではないクリクリと気味が悪いほど大きい。そして愛嬌のある丸めのシルエット。加えて頭には……
「なんでいい年いったおじさんがうさ耳つけてんの?きぐるみ着てんの!?可愛くないんだけど……」
むしろキモい。
こういう萌え耳は女の子がするから可愛いのであって、中年太りのすね毛ボウボウのおっさんがつけるものではない。断じて!!
「なに言ってんのよ優也。ここは何か可愛いモノになりきるのがルールよ。フォンデュ協定第3条にも書いてあるでしょ?」
千沙は正気を取り戻したみたいだな。自力で。良かった良かった。
俺勝手に怖がられてて何気に少し傷付いていたりなんかしていた。
「……そういえばあちこちにいるな。キモ…カワイイモノが」
涼。お前は間違ってないぞ?
キモいキモいキモいキモい……
普通にキモい。
「おい、そこのおぶさられている情けない男!先程の呪文もう一度言ってみろッ!」
「なにおうっ!?情けない男呼ばわりを止めるならいりごまでもすりごまでもとなえてやるよッ!!」
涼の背中を飛び降りつつ、かつ涼よりも前には出ずに叫ぶ。一応兵士っぽいし槍持ってるし…なによりその奇抜な容姿が恐い。
キモ恐い。
「そこの微妙な容姿の男!!ツベコベ言わずに迅速に質問に答えろ!!」
「うぉぉおおいッ!!訂正しろぉぉおお!!!せめてチャーミングボーイに訂せ」
「どっちでもいい。それより召喚獣の呪文の件、聞かせろよ」
俺の悲痛な叫びをバッサリ切り、うさ耳おじ兵士を睨む涼。その鋭い眼光に慄いたのか兵士2人が後ずさる。
わぁ、いいなぁ〜。俺もその技欲しいなぁ〜。
「すりごまの件、詳しく聞かせろよ…キラン」
…キラン。
決まった。涼の技、会得したり…キラン。
「……その微妙に気持ち悪い男の気持ち悪い視線を止めさせたら話そう」
「…その気持ちは分かる、取引成立だ。おい優也、向こう向いてろ」
涼、お前どっちの味方なんだよ…?!
とは思ってても口に出さない。答えが怖いし…
返答によっちゃ立ち直れない。
背中に哀愁を込めつつ膝を抱え反対を向き大人しく座る。涼の足下をちょろついていた雑草共が嘲笑うように寄ってきて目の前で踊り狂い始めた。
…除草剤散布すんぞッ!!!
10分程雑草共の踊り狂う姿を見せられ、そろそろ葉の1枚でも毟ってやろうかと手を伸ばしかけたタイミングで涼と千紗、平喜が深刻そうな顔で歩いて来る。
…いや、平喜の方は疲れの方が出てるか。
……ご愁傷様です、本当に。
「優也、あんた思ったよりヤバめかも。多分拉致られるよ」
「拉致ッーへっ!?」
ため息を吐き、言い終わった後にそっと視線を逸らされた。
助けを求めようと涼の方へ恐る恐る目線をやると、千紗と同じように逸らされる。
何?俺のこと邪魔だからってみんなで寄ってたかって危ない闇組織にでも売るつもりなんじゃ…!?
………うん。逃げよう。早急に。
「あぁっと!そうだぁ!俺大事な用事が…」
「今俺から離れると千紗の言葉が現実になんぞ」
「…ただいま地上の彼方へ消え去りましたでございますうぅぅう!!」
「いいから黙って大人しく聞け」
はい…と小さく返事をし体育座りから正座へと移行する。何故か雑草共も同じ体制で横並び。
馬鹿にされてんのか、涼への忠誠心かはたまた俺への同情か……
ーニヤリ。
「1だーッ!!確実に1だーッ!!!」
「黙って・大人しく・俺の話を聞け・な?」
「…はい」




