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マンホールの下は異世界でした!?  作者: 氷山


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3



「平喜っ!!」



慌てて弟に駆け寄る千沙。そしてテキパキと慣れたようになにやら手元を光らせ作業し始める。俺達が近づくころにはそれも終わったらしく平喜の咳も治まっていた。



あの駆け寄るスピードと処置の素早さ…そして的確さ。俺は読めたぞ。この事件の真相をッ!



「この発作のような症状、1度や2度じゃありませんね?千沙」



「ええ…そうだけど…」



「はぁ…また始まったか」



涼のため息今日何度聞いたかわかんねぇな。幸せ逃げるぞー。ま、今の俺は役になりきってるから口に出しては教えてやれねぇけどな。



幸せは自分で吸い戻せッ!!



「あぁ、天才的な俺には全て解ってしまうのだ。自分の才能が恐ろし……」



「そんな事どうでもいいから。何がわかったのよ」



「ちょまだセリフの途中…エフン。では、説明して進ぜよう。」



「手短にね」



うう、千沙の目が恐い……



いやここで負けるな優也!お前ならこの大役、ヤリ切れるはずだ。屈するな…あの目つきにッ!!



気合いを入れ直し俺はまた華麗に事件を解決する名探偵という役に戻った。



「弟さんのその咳…何かのご病気かな?」



「まぁ。生まれた時からなんだけど成長するにつれて悪くなる一方ね……」



よし、当たった!



( ジーーっ… )



「俺が見る限り弟さんのその病気のことで千沙、貴方自身も辛い思いをしていると見受けた」



「………そうね。たしかに私の回復魔法じゃ苦しみを軽くしてあげることしか…」



これも当たりか!



って回復魔法!?うわー、マンホールの下じゃ魔法技術が発展してんのか…。



( ジーーっ… )



「だけど貴方は知っている!弟さんを助けることが出来る方法を!」



「な、何故わかったの!?誰にも話したことなかったのに……」



「俺に隠し事は出来ないってことさ。さぁ、全て話してくれるね?俺達が君達姉弟を救ってあげよう!」



「ありがとう!全部2人に話すわ」



決まった…。そして当たった!



( ジーーっ… )



うん、涼の考えてることが手に取るようにわかる。目は口程にものを言う?ってのは本当だな。今の涼の目は…とてつもなく饒舌だ。



『いつも何をしても失敗を重ね、更に状況を悪化させる天才がまぁ、昨日見てた珍探偵ゴメンに救われたな。奇跡的な的確率で今の姉弟の状況まんまだったもんな。お前のその頭脳も小学生ゴメンになりきろうとした機転は認めてやるよ。…セリフはグダグダ、決めポーズとしてしたであろう指をL時に曲げて突き出すあのポーズ、ピースになってたけどな。ま、お前にしては頑張ったほうだな』



クソッ、昨日の珍探偵ゴメンは涼もチェック済みだったのか…。



何か色々ダメ出しはされてるけど、最終的には褒められてたみたいだし、いっか。



涼にしては、素直なほうだ。



「いやぁーそんなに褒めるなよ涼。流石の俺も調子に乗っちゃうぞッ!『天罰はいつも……』」



「調子に乗ってんのはいつもだろ」



「違う!いつものは俺なりの対話だッ!それにゴメンの名言最後まで言わせろ!!」



「ゴメンに失礼」



なにおうぅ!?と涼に抗議を申し立てようとするも、刺さるような痛さを直に感じるあの視線が俺に突き刺さる。



「そろそろ私の話いいかしら?」



「はい…お願い致します……」



何で俺だけ怒られてんの?涼も同罪だろッ!



正座する俺の横で、贔屓目の雑草共に貰った草笛を響かせる涼に殺意が沸かない筈もなく、仕返しに『草笛よ、口にめり込め』と念を送る。



「ふぐほぉあッ…!!」



が、その結果。その念を感じとった涼が草花達に指示し、俺の口に大量の四つ葉のクローバーを詰め込まれた。



四つ葉のクローバー、幸せを司る植物を仕返しに使うという粋な計らいに、俺は自分の心の狭さを痛感し、千沙の説教を耳に入れては出しながら涙するのだった……



「……て、ことなの。だから私は何としても『トレスティアル ヘル』に行かないといけないの。ここまでは分かった?」



「うん、全然!とりあ地球をトレヘルって呼んでることは理解したっ!ドヤァ」



「…あんたには元々理解できる思考が発達してるなんて期待してないわ」



「うっ…。そそそんなに辛くしなくても、これでも理解しようと……」



説明は長く2時間は軽い正座が続くこの状況、精神的にも追い詰められる眼力と言葉。



心身共に限界…泣きそう。



「…あとで優也にもわかるように説明するから。少し黙っ」



「りょおおおおぅぅ!!」



うぉいうぉいと泣き絡みつく俺を必死に引っぺがそうとする涼に、感動以外の涙も混じり始める頃、千沙の長い説教?説明も終わりを迎えた。



「じゃ、涼。ここまでの話を馬鹿でポンコツな優也にも解るように説明よろしく。私には手に負えないから」



「りょ」



うぅ辛口…でも!



めげない!しょげない!泣いちゃダメ!



いけいけ優也くーんっ!



「ばっちこーいッ!!」



「やる気はわかったから、大人しく聞いてろ」



「ういっす…」



俺の振り絞った空元気は涼によってバッサリと切り捨てられた。



「じゃあ簡潔に…チーズフォンデュに行くぞ」



「ほうほう、それは美味そうな」



「……………」



「……………ん?終わり?」



「終わり」



どういうこと?



理解力のなさは自負してんだけど、これは流石に理解云々は関係ないような。



今んとこチーズフォンデュ食べに行くってことしか情報掴んでないんだけどぉ!?



涼が時々解らない…。




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