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「あの、宜しいですか?」
まさに涼に手が俺の首にかかり、絞め落とされる寸前に天の声が助けに入ってくれる。
正直マクアン神父のことは冷徹変人としか思ってなかったけど、こうして俺が絞め殺されそうになってるのを心配して声かけてくれる生徒思いの良い神父さんだったんだ…
「ユウヤさんをいたぶるのは後にゆっくりとどうぞ。今は貴方方の素性をはっきりとさせることが先決です。先ずは寮の貴方方二人に当てがわれた部屋へ行きましょう」
本当に存在するのであれば…ですが、と疑いの眼を隠しもせずに俺は元より、涼へも送ると門を開け、寮へと続く洋風の石畳みを挟んで綺麗な異世界の花々が左右シンメトリーに咲く、道を歩いて行く。
俺達家主もまだ入ったことがない寮部屋へと家庭訪問する気満々らしい。先を行くマクアン神父は後ろ姿や歩き方は品の良い大人だが、雰囲気は何処か楽しそうに感じる。
「涼…やっぱりアイツ頭おかしいって。とりあえず警戒だけはしとこう!」
涼の耳元へと小声で言ってから、拘束されていた首を涼の手から解放した。
お前も負けてない、と門と涼との隙間から抜け出る際に聞こえたような気がするが、きっと気のせいだろう。
マクアン神父への警戒を体現しようと忍者走りで後を追う。その後ろを涼が片手をズボンのポケットに入れ、普通に歩いて着いて来る。
「おい!涼、警戒を怠るなって言っただろッ!もっと真面目にやれよ!」
「…側から見たら俺の方が真面目だ。とりあえず目立つからその走り方止めろ」
「何処が目立つんだよ。忍者は忍ぶ者だぞ?その忍者さん達がこぞってこの走り方してたってことは…忍んでるはずだ!」
「その根拠の無い自信はどっからくんだか…。とにかくやめろ。」
マクアン神父見てんぞ、と言われ涼の視線を辿ると既に着いていたようで、寮のドアの前で腕組みをして俺達が来るのを待っていた。
ただその目は何か得体の知れないモノを見るかのように鋭く細められていて、能面顔の迫力が増している。
…忍者な俺の姿を捉えられるとは…油断ならねぇな。
マクアン神父の感覚の鋭さに驚きながらも、組まれた腕を人差し指でトントンと小刻みにリズムをとっているのを視認し、涼の背を押し盾にしながら急いで寮の中へと入った。
「…こんにちは。今日からこちらでお世話になるリョウとユウヤです。部屋は…」
「ままマクシミリアン神父っ!?何故此処に!?」
「私が此処にいることに…何か問題が?」
いいえっ!!と何故か慌てた様子の30代くらいの男性。寮に入り廊下を挟んで直ぐの寮館室と書かれた、札の掛かった小窓から顔を出しているからその札通りの役職なんだろう。
早急にマクアン神父の睨みから解放されたいのか
「学園長からの部屋の変更を承っております!どうぞ!」
と、木札に屋上と書かれた鍵を涼に強引に押し付け窓を音を立てて閉められた。
「何だあの男…小窓の妖精か?ま、そんなことより部屋の鍵ゲットだぜッ!」
「どうやら貴方達が世界樹学園に在籍していることは証明されたようですね」
…屋上?と呟き、握らされた鍵を怪しんでいる涼を急かし、マクアン神父と共に寮館室の隣にあったエレベーターに乗り込み、1番上のボタンを押した。
俺達が1ヶ月を過ごす寮部屋…俄然楽しみだッ!!




