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マンホールの下は異世界でした!?  作者: 氷山


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side マクシミリアン



バツィンッー!!


ーバタン。



遠くで確かに結界の爆ける感覚と扉の開く音が聞こえた。



「いってぇぁッ!!って何処だここッ!?」



まだ幼さの残る耳障りな男の声。



私の張った神聖結界をその身で破って侵入して来たでしょうに…白々しい。



そして続けて聞こえてくるのは明らかに拒否されているのに気付いていないのか、フリなのか同行者の女性への寒々しい台詞の羅列。



聞きたくはないですが、不法侵入なのは紛れもない事実。侵入者の正体を暴こうと聖堂へと繋がるドアへと近づきよく聴くと、どうやらこの聖域たる教会をあの男のユートピアなる物にしようと画策しているよう…許し難い悪行ですね。



ユートピアの意味はよく分かりませんが、あの男の言う安息地…つまり私のユートピアへあろうことか無断で住み着こうということなのでしょう。



なんたる図々しさ…。



「これは黙っている訳にはいかなくなりましたね」



彼の1番嫌なタイミングで登場することで多少の憂さを晴らすと心に決め、それを実行した。そしてそれはものの見事に成功し女性が無事に逃げ、残された男へ尋問を開始する。



幾つかの質問と潰しておきたかった可能性…扉の結界の不具合の有無を確認してやはり、と再確認を済ませた。



扉にも結界そのものにも…不備は無かった。



もう一つ、分かった事実がある。女性が何の傷害も無く扉を越えられた、このことから予測はしていたことでしたが、扉の現状を把握して再度認識をし直す。



結界の一時的な破壊、消失では無いということ。



この事を踏まえ、二つの仮説が立てられる。



一つは女性の方が神職者でその中でも私と同等、若しくは上回る神聖力を宿していること。



そしてもう一つ。聖堂の中央で私を警戒するような目つきで無遠慮に観てくる男、確かユウヤと名乗っていましたね。この男の方が神職者…此度の奇異な言動では有り得ませんね。



ただ何らかの方法で魔力とはまた別物の神聖力、を手にした可能性は十分にある。



…確かめる必要がありますね。



神聖力には魔法とは違う多様な使い方がありますが、一般的なものでは結界、浄化、そして相手の眼を覗くことでその者の真意を探る…聖眼(せいがん)。



聖眼で視るまでも無く全てが言動に表れ、駄々漏れのユウヤに使う意味はあるのか甚だ疑問ではありますが、念には念を。この私の仮説が真実となれば……



下水楼の…『希望』です。



慎重に事に当たらなければ、と意気込んでユウヤの眼を覗くも、無。忙しない言動に反し、その瞳には何も映していない…視えない。



初めての事象に鬱陶しいとしか思わなかったこの男に俄然興味が湧いた。説明の付かないこの現象…必ず私の手で暴いてみせる。



呼び難いという理解が追いつかない理由で私を略名で呼ぶことを志願され、未知の生物認定をした研究対象…ユウヤの頼みというので警戒したがそれも徒労に終わり、寮への案内を懇願されたので追加で一つ実験をすることにしましょう。



「ついて来なさい」



実験対象に声を掛けつつも、その短い脚では到底追いつけない速度で扉を抜けて閉じる。そしてユウヤ達が侵入する以前と同様の結界を張っておいた。



自身に危害が及ばぬ様に素早くその場を離れて、もし何事も無く対象が出て来ても自然に見えるように観察する。



「さぁ、ユウヤさん…私にみせて下さい」



貴方の可能性を……



程なくして多少の苦は漏れ聞こえた痛みを訴える叫びからあるようですが、扉を開き、出て来たユウヤ。



この叫びが意味するのは…無意識の破壊であること。



結界の解除は彼の意思に関係していない、ということは教会への侵入も本当にユートピアを求めてという阿呆の考えだったのでしょうね。



面白いデータが取れたと上がる口角を彼に悟られることが無いように、早足で寮への道のりを私を見失わせないよう細心の注意を払いながら、歩調を調整しつつ歩く。



先ずは…体力測定からです。



寮までの訳1キロ、私を楽しませるデータの提供を期待していますよ…。



遥か五十数メートル先の屋根の等間隔に並ぶ天窓から差し込む、擬似光が照らす舗装された寮までの道。



いつもは薄暗ささえ感じる道のりが今は煌々と照って見え、その様は最高の実験対象に出逢えた私の喜びを体現しているようだった。



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