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物理的にも詰め寄られ、その距離が30センチを切ろうとしていた時、マクシミリアン神父が何か思い出したのかそのまま俺を通り過ぎ、先刻レイディが消えていった扉を取っ手を押し引きし何かを確認しだした。
さっき俺が教会に入る時に放電しておいたけど、大丈夫かな…ここの静電気マジで痛いから。
少し確認して満足したのかこちらをサッと振り返り、髪と同じ冷たい色彩の眼で訝しげに凝視される。
「…不思議ですね。御二方が開けて入って来られた扉…私以外に開けられるはずがないのですが?」
「ふ、不思議ですね…?」
俺何もしてねぇぞ?!さすがの俺も扉を破壊してまで女の子を連れ込む度胸はない。
それに、俺的にはあなたの方がよっぽど不審…いや不思議人物だけどなッ!パーソナルスペースがバグってんだよッ!
現に、扉に興味を失ったマクシミリアン神父は俺の瞳を覗き込み、情報を得ようとしてくる。そんなところに何の情報があるってんだよ…。
「マ、マクシミリアン神父?気はすみましたか?そろそろ寮へ行きたいんですけど…」
「…そうですね。ユウヤさん、貴方からは何も視えて来ない」
「はぁ、それはどうもすみません。あのマクシミリ…呼び難いんでマクアン神父でいいですか…?」
マクシミリアン神父の機嫌を損ねないように慎重に尋ねると、片眉をピクリと痙攣させ、首をゆっくりとした動作で傾げ、ゆっくりと戻した。
「許しましょう」
どうやら不快ではなかったようだ。
眉が痙攣した時には俺の人生ここまでか、と思ったがただ変人なだけだったらしい。
「じゃ改めてマクアン神父、切実なお願いがあります」
「なんでしょうか?」
「俺を学生寮まで連れて行ってくださいッ!さっきの受付レイディは緊急の用事を思い出して仕方なく帰ってしまったんで、俺迷子なんです」
「随分と潔い迷い人ですね。…いいでしょう。貴方の正体を確かめるのにも良い案です」
ついて来なさい、と散々と調べた扉を開けサッサと出て行ってしまったマクアン神父を見失うと学園内を果てしなくさ迷うことになるので、急いで邪魔臭い扉を静電気を警戒しながら制服の袖で押し開けた。
バツィンッー!!
「いってぇぇええッ!!」
…全く意味は無かった。
ものの数秒で視界から消え失せたマクアン神父を探し、教会前でキョロキョロと左右を見渡すと校舎と反対側、つまり教会を背に左側の道の先に小さく見えた上品な黒と金の後ろ姿を睨みながら、必死に走る。
…ああ、これが涼なら俺の追いつけるギリギリのスピードで前を歩いてくれるのに、と今は図書館でお勉強真っ最中の親友を思い浮かべ、遠慮の無い速さで先を行くアンドロイドな神父を追うのだった。




