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マンホールの下は異世界でした!?  作者: 氷山


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バツィンッー!!



「いってぇぁッ!!って何処だここッ!?」



はめ殺しのステンドグラスが四方に張り巡らされた白が基調の綺麗な内装。そして天井がいやに高い。建物の中の建物ということを忘れさせてくれるくらいの荘厳な造りだ。



もう、ここが寮でいっか…。俺に不満はない。玄関の取っ手の静電気が痛過ぎる、と言うこと以外はな。それに



……迷子になってもいない。



「…着いたよ、レイディ。ここが俺と君の安息地、ユートピアだよ…キラン。」



「も、もう帰ってもいいですか…?」



入り口付近で振り払うように離された手を気にしないように、建物内の四方のステンドグラスの光が集まる中心点へ立ち、俺の中で1番のキメポーズに台詞をキメる。



が、俺とは決して目を合わせず、更に出入り口の木目の綺麗な両開きの扉の取っ手を、その両手の手が白く変色する程に強く握りしめている。



どうやら彼女はステンドグラスの光が乱反射するキラキラと落ち着かないこの空間が気に入らなかったようだ。



「俺の部屋が眩し過ぎたかい…レイディ。ほら、そんなとこにいないでこっちへおいで…キラン」



「こ…ここ教会ですよ…っ。か、勝手に棲まないで下さいぃぃ、それに此処は立ち入り禁止で…」



「そこで何をしているんですか?」



ひぃぃっ、と一際甲高い悲鳴を上げた受付レイディは掴んでいた取っ手を全力で押して逃げて行った。



そのあまりにも素早い動きに俺は引き止める暇も無く、ただその姿が勢いよく閉じる扉の向こうに消えていくのを黙って見ていることしか出来なかった。



それは出入り口の扉と反対にあった左右の端っこにあるドアのうち、右側から疑心に満ちた雰囲気を纏い出て来た男も同じようだった。何を考えているか分からない何とも言えない表情で慌ただしい受付嬢を見送っていた。



くそッ…コイツのせいでナンパ失敗したじゃねぇか!その責は十二分に負ってもらうからなッ!



暖かみのあるステンドグラスが乱反射するこの場所が、この男の登場で暖色系の色の抜けた薄寒い空間へと変貌した。レイディと2人きりの時とえらい違いだ。



黒い上質な生地に金の刺繍が施された聖職者の着るような足元まで隠れた洋服を着、短い天パをステンドグラスの寒色系だけを集めたような群青色の髪を微塵も揺らすことなく静かに俺の元へ来て僅か1メートルの距離で対峙する。



身長差際立つからもう10メートル離れろッ!!



「私はマクシミリアン、神父です」



「こ、こんにちは…?俺は優也、えぇっと、1か月なんちゃって体験入学中?です」



「体験入学…ですか。そんな制度聞いたことありませんね。不審者ですか?」



いえ違うと思います…とこの男、マクシミリアン神父の迫力に押され意図せず尻すぼみになっていく声で言った。



涼とはまた違ったタイプの威圧感……。何故かこの人には逆らってはいけないとあまり当てにはならない本能が訴えている。



「…ユウヤさん。体験入学を騙る貴方には知らなかった、で片付けられてしまうことは承知でお聞きします。この神聖なるが故に立ち入り禁止の教会に不法侵入した訳をお聞かせ願いたい」



「り、寮を目指してたはずなんだけど間違えちゃったみたいで…」



「おやおかしいですね…?失礼ながら御二方の会話を聴かせていただいていたのですが、貴方…女の子をこの教会に連れ込もうとした挙句、居住地になさろうとしておりませんでしたか?」



ユートピア、でしたっけ?とロボットのように動かない表情筋と言葉で淡々と詰めて来る。…物理的にも。



怖い…。色々な意味で怖いよ、マクシミリアン神父。



あと、ユートピアは忘れてください……



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