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「たあぁすけてぇぇえッ!!!」
オウジの首根にしがみ付き叫んではみるも、俺達と並走し馬鹿共止まれと叫び続ける涼も、暴走馬を止めることはなかなかに難しいらしい。
そのまま俺達2人と2匹、3本の雑草は多分オウジの目的地、真っ直ぐに聳え立つ塔のような物の所へ猛スピードで駆けている。強行突破した門の側にあった市場らしき場所に目移りもせず、一直線にその建物へ向かって走るオウジ。
…余程美味しい物があるんだな。こんな状況だが少し楽しみでもある、なんてオウジの叫ぶキーホルダーとなっている俺は現実逃避を目論んでいた。
が、それもすぐに終わり迎える。
「ヒメ!寄せろ!」
ヴィェエエエッ!!
けたたましい嘶きの後、ヒメがオウジと距離を詰め抜き去った。その勢いを利用し、涼がヒラリと俺の後ろへと飛び移り、まるで最初からその位置に騎乗していたかのような安定感でオウジに跨った。
「りょおうッ!助けにブェヘェッ」
…俺を助けに来たわけじゃないようだ。
まるで俺が見えてないかのように右手で俺の頭部を馬上に押さえつけ、左手で手綱を軽く引きながらオウジの耳元へ顔を寄せる。
「…オウジ、落ち着け。お腹空いたな…ご飯、一緒に食べるぞ」
ヴィェエエエッ!ブルルッルル
オウジの駆けるスピードが徐々に、そして確実に落ちている。涼が動物だけに向ける甘いヴォイスで囁いてから10秒ほどで軽いジョギング程度のスピードになり、再度涼がヴォイスで止まれオウジ、と言いながら手綱を引くと完全にその場に停止した。
…なんか、なんか…な。いけすかない。
涼が軽い動作でオウジから降り、重量が俺だけ2倍かかってるんじゃねぇかと思うくらいの重い動作で俺も地面へと降り立つ。
「とりあえず…ありがと、涼」
とりあえず…礼は言っておく。オウジの暴走を止めてくれたことに感謝はしてるしな。
…不満も同じくらいあるけど。
俺の複雑な心情を読み取っているくせに、素知らぬ顔でおう、とだけ返し先を行っていたヒメを指笛で呼び戻しオウジと一緒に愛でている。
そして何故かヒメにしがみついていた雑草共もどさくさに紛れ、ここぞとばかりに涼に絡みついて甘えを享受している。お前ら何にもしてねぇだろッ!!
別に羨ましくなんてないぞ。
…ないぞッ!!




