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マンホールの下は異世界でした!?  作者: 氷山


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安息地を求めて異世界



ここ3日の俺のスケジュールに物申したい。



朝〜昼、オウジに騎乗し轍を頼りに名も知らぬ草原、山を駆ける。



30分程休憩 食事は生人参と雑草共が何処からか持ってくる木の実。俺のだけ渋い。



昼〜うす暗くなるまで、またオウジに騎乗し轍を頼りに名も知らぬ草原、山を駆ける。



夜、野宿。夜ご飯は川か池があれば魚、無ければ動かない草、野営地を離れた物は涼担当。それと雑草共の木の実。俺のだけ渋い。涼が狩に行っている間、俺は雑草共と共に葉を集め寝床作り。頻繁に種子に襲撃されるおまけ付き。



それプラス風呂はただの川。トイレはその辺で、雑草共が必ずちょっかいをかけに来るせいで落ち着いて出来ない。



日の出と共に起きて、軽く夜ご飯の残りと雑草共の木の実で腹ごしらえ。やはり俺のだけ渋い。時々口の中が痺れる。



これがエンドレス。今日で4日目の昼休憩…限界だ。



だんだんとやつれていく俺を心配して、頻繁にヒールっ!をかけてくれる涼だが、その治癒魔法の連続で体は健康どころか肌艶が良くなり、髪の毛にも天使の輪が出て来ていた。だが、俺の心はカサッカサにやさぐれていた。



「んーもう限界ッ!!涼!!俺はもう限界だーッ!!」



「……『ミント』」



「呼ぶなぁぁあッ!!ヒールするなぁぁッ!!」



ピッ…ご用件をお話し下さい。



「…相方、情緒不安定、怒り、原因と対策を教えてくれ」



ピッ…検索結果……生理かその前でしょう。対策としては1、優しく寄り添う。2、怒りを受け止める。3、腰とお腹を温める為のカイロを渡す。です。



静かな川のほとり。聞こえるのは、川の水が流れる音と無機質に淡々と話すミントの声だけ。



ミントの話を最後まで聴き一瞬思考した後に、人1人分空けて座っていたのを、距離を詰めぴったりと寄り添うように座り直す。どうやら1の実行らしい。



そして至極真剣な顔で俺の顔を覗き込み、口を開いた。2を実行してくれ…



「…生理か?」



「ちっがああぁぁうッッ!!」



俺の怒りは沸点を越し、ここ3日半の過酷なスケジュールの不満を涼に言葉選びも荒くぶつけた。



その間も涼は言い返すことも無く、ただただ静かに俺の暴言にも時折頷きながら俺の怒りが鎮まるのを待っていた。



不満を全てぶち撒けて落ち着いた俺は、怒りもせずこちらを見ている涼に向き直った。



最低だな、俺は……



「…涼。ありがとう」



涼はちゃんと2を実行してくれてたんだな。わざと俺をキレさせるようなこと言って怒りを吐き出させてくれたん…



「おう。ただすまん…カイロは持ち合わせがねぇ」



「…違うからな?俺男だし生理じゃねぇからな?」



「…?ああ(生理前だったのか?)」



こりゃ解ってねぇな。疑問符を浮かべ曖昧に返事をする涼に毒気を抜かれ溜め息をつく。



あともう少し、とフォンデュ国を出て何回目か分からない涼の言葉にもう1度気合いを入れ直してオウジに跨るのだった。



「見えた…やっとッ!」



フォンデュ国を出て5日目の昼頃にしてやっとパンフレットと同じ、中心の1箇所だけが異様に高く突出している平たく伸びた大きな建物が遠くに見えた。



まだ数キロは離れていそうなのに…これもパンフレット通りだ。強大すぎる1つの建物が国なんだそう。



雨でも国内傘無しで観光し放題だな。



「さ、涼行っくぜーッ!待ってろ数日ぶりの美味しいお昼ご飯ッ!」



「…目立つ行動は避けろよ」



俺はまだ見ぬ異世界飯に思いを馳せていると、目前に見えた聖都リゾットの門らしき物を見つけそこに急げとオウジに口頭で指示を出す。それに応えるように特有のあの声で嘶き、グンとスピードを上げた。



ここ数日で息通わせた俺とオウジ。ペットは飼い主に似るとはよく言ったもので興味の対象、そして目的物を得る為の過程を最短距離で目指す姿勢までもそっくりだ。



つまり今で言うと、興味の対象=ご飯、そして目的物への最短距離=入国する為の監査門と監査員であろう白装束のような物を来た2人の男女…をフル無視で突破。



「待て待てィオウジィッ!!そこまでの指示は出してな」



「んの、馬鹿っ!!さっさとオウジの手綱引け!」



ヒメと共に、俺達の蹴散らした門番の間を抜け、俺達に向かって叫ぶ涼。



いやね、涼さん。俺もそれはもう全力でオウジの手綱引いてるわけよ。明らかに門前で止まる気ねぇなと確信した門から100メートルも離れた位置から。



知ってるだろうけど俺、運動音痴も力、体力共に皆無なんだよ。よってオウジの暴走を止められる手立ては目的物の入手…これしかない。



「やってしまったものはッしょうがねぇッ!オウジッ!お昼ご飯の時間だぁああッ!!」



止まれ馬鹿2匹、と叫ぶ涼の声が聞こえるが俺達の食に対する執念はそんなことじゃ抑えられないッ!



あっ違うぞ?オウジ抑えこむの諦めて自暴自棄になった訳じゃねぇからな?単純な人の三大欲求の1つに素直に従ってみただけだから。



オウジ馬だけど…今、欲求の権化になって猪突猛進してるのは馬の一大欲求に狂ってるだけだから。



…助けてりょぉおおうッ!!



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