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「…とにかく、次の目的地に行けばある程度情報は掴めるはずだ」
「次の目的地…って、今朝方涼が言ってた世界樹?世界樹にあれこれ直接聞けちゃう?まさか…喋る木か!?それとも木の精霊、妖精!?」
1人これから待つであろうファンタジー満載のあれこれを想像し、妄想を膨らませていると涼が俺の向かいの小さな丸テーブルを挟んである対の椅子に座り、背もたれにかけてあったバッグから薄い冊子を取り出し、テーブルに置いた。
その表紙にははっきりとファンシーな文字ででかでかと日本語でこう書いてあった。
『聖都リゾット世界樹学園、入学のすすめ⭐︎』
〜全ての始まりは勉学から⭐︎みんなで楽しく勉強漬けらいふ⭐︎〜
「涼、嘘…だよな?俺達やっと勉強から解放されて」
「俺達に今1番必要なのは…知識だ」
「のおおぉおおッ!!!」
マンホールに落ちて唯一得した事、それが勉学からの解放だった。…だったのに、異世界でも勉強?幾ら学生の本分は学ぶことだとしても…あんまりだ……
世界樹はどうした?お喋りする物知りな木や可愛い木の妖精、精霊達は?
俺の心境を読み取った涼が、テーブルに両肘を付きそれに顎を乗せ、呆れたようにため息を吐きながらこちらを見やる。
「…何を勘違いしているか知らねぇが、世界樹は、聖都リゾットの俺達がこれから1ヶ月通うことになる学園の名だ」
チーズ大陸の聖都リゾット、世界樹学園ってこと?
涼の言葉に俺の夢と希望、そしてファンタジー世界への淡い幻想をも見事に打ち砕かれた。
「……帰りたい」
今は心底地上…トレヘルへ帰りたいッ!
脱出期限1年?そんなの待ってられるか!ただでさえ勉強が確約された高校での生活があと2年残ってんのに更に追加…?
そんなの耐えられっか!!
「反対反対はんたーいッ!!俺達の目的はマンホールからの脱出だろ?異世界学校で勉強する為に落ちたわけじゃねぇッ!」
「…落ちた目的なんて元々ねぇだろ。お前のただの不注意だ」
「ぐぅっ…」
の根も出ない。
言い返す言葉も無くなった俺は椅子から勢いよく立ち上がり、すぐ近くにあった涼が陣取っていた方のベッドへと入り文字通り不貞寝した。
勝手に俺のベッド入んな、と被った布団の外で涼の不服そうな声がしたが…知るか。俺は絶望してんだ。これからの1か月の勉強漬けらいふ⭐︎に。
身体の疲労はそこまでないが、精神的疲労はピークをとっくに越していた俺は涼の舌打ちを子守唄に、ベッドに入るや否や眠りに堕ちたのだった。




