ちょっと待て異世界
どーーん。
まさにこの効果音がぴったり。
路地裏の暗がりに有るまじき剛健さを醸し出す豪邸。
「ここよ。身を隠すのにはうってつけでしょ」
「確かに…じゃねぇよッ!さては千紗、お前…俺達を騙して人身売買で金持ちにでも売ろうとしてやがるな!?」
「……涼はともかく、あんたは商品にもなんないわ。黙ってついて来なさい。」
「なにおぅう!?俺だってな」
「ほら、行くぞ。お前は悪目立ち過ぎる」
そう言い残し涼と千紗、平喜は威圧感ある豪邸へと向かって歩き去って行った。
いいのか涼!水っ腹の金持ち共にいいようにされて!!
知らんぞ〜俺はどうなってもッ!!助けになんて行かねぇかんな!!
「誘拐されて売り飛ばされちまえーッ!?ぎゃぁぁあああ!助けてりょぉおおッ!!!」
一瞬だった。
背後から現れた謎の体毛だらけのファンシーな腕が視界に入った時には俺の意識は遥か彼方へと飛び退って行った…。
side涼
千紗に連れられ屋敷に入って直ぐだった。後ろをついて来ていたと思っていた優也の負け犬の遠吠えのような捨て台詞が聞こえたと同時に助けを求める叫び。
「ーッ‼︎」
油断していた。いつも当たり前のようについて来ていたから。
当たり前に側にいてくれるんだと……。
外へ飛び出た時には優也の姿は無く、代わりに見えたのは路地に消える見覚えのあるウサ耳。
あれは、王城門前にいたキモ…カワうさぎ。
「…ぜってぇ取り返すッ!!」
今から追いかけても取り返せる可能性は低い、か。
攫われた場所は分かった。だが、場所が悪い。正面から堂々と行っても魔法の1つも使えない俺じゃ…難しい。
たが、取り返す算段は…ある。
「千紗…親父さんに今すぐ会わせろ」
「2階の右奥よ」
待ってろ、優也。
俺が行くまでは……
余計なことだけはすんなよッ!!




