↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お母さん転生する  作者: 大島Q太
商売のお勉強編
PR
63/69

19.お母さん、商機を見いだす

 


「グエン、パロットさんと、ローランを呼んできて頂戴」

 グエンさんはすぐに出ていきました。


 部屋には二人きりですが、扉は空いているのでセーフらしいです。


「それでは、彼らの到着までに私のことを一つ、お話しますね」

 ロバートさんは手を組んで、ソファに深く座り直しました。

「私のスキル。実は外れスキルと呼ばれるものなのです。そのせいで、私は家から出され商業ギルドの職員になりました」

「まあ、ベルナール侯爵家の後ろ盾で、順風満帆に副ギルド長に上り詰めたのだとばかり」

 ロバートさんは、クククっと笑いました。

「ええ、途中からはそうです。ですが入った当初は、むしろベルナール侯爵家という血筋を下に見られるからと、上司や同僚から陰湿な扱いを受けました」

「まあ、嫌な人はどこにでもいるのね。でも、そこから活躍するきっかけがあるのでしょう?」

「はい。私のスキルは《商機》と呼ばれるものです」

「え、とってもすごそうじゃない!」

 ロバートさんは、首を振ってまっすぐ前を見つめた。

「この《商機》は、視認できたと思った次の瞬間には変動してしまう……とにかく扱いづらいスキルだったのです。若い頃はがむしゃらにその《商機》へ飛びつき、成功も失敗も重ねました。ですが数年経ち、気づいたのです。《商機》には前触れのような兆候があるのだと」


 ロバートさんは一呼吸置きました。

「それからは《商機》を注意深く観察するようになり、ある程度先が読めるようになりました。そこからは安定した結果を出せるようになり、ベルナール家が後ろ盾になってくれました」

「……なるほど。てのひらがえしね」

「ははは、そうです。そうして《商機》を観察する中で、まったく《商機》が存在しない領域があることにも気づきました。ですが、その無駄をうまく処理することで、新たな利益を作るができるのだと知ったのです」


 それって、《商機》をコントロールしてるってことじゃない。

「今、王都で一番《商機》がなかったのが、ブライアン・リースマンの商会でした」

 笑っていいのかしら、クソ旦那、お金儲けの才能ないようよ。

『いまのところ、よしこさんも消費が増えているだけで、増やせてないわ』

 笑顔が消えます。そうね、笑えないわね。

『本当のことを言ってごめんなさい』


「彼には商売の心がないことに気付きました。さっさと、あの商会を買い取って、他所の商会に売ろうと思っていた矢先にアリシアさんに会いました」

「まあ、売られそうだったのね。踏みとどまってくれてありがとう」

「どういたしまして、それで、アリシアさん。あなたはなぜか消えない《商機》を背負ってたんですよ」

 まあ、笑わなかったのは優しさね。

「ですから、興味を持ちました」

「クラックビーズ。玉ねぎで染めたドレス。花の飾りに、色糸を巻いたビーズ。あなたは様々なアイデアを出してすべて形にしてみせた」


「あなたを知ろうと近づきましたが、面白くて危うい人でしたね」

「……それ、カーミットさんにも言いましたね」

 ロバートさんは、目を細めてうなずいた。

「すみません、それ以外に形容しがたくて……」

「それはもっと傷つきます」

「すみません。……それであなたに商売を持ちかけたというわけです。騙すような、ごまかすようなことになったのは……久しぶりに逃したくないと焦り、なりふり構えなかったからです」


「なるほど」

「以上が、今日までの顛末です」

 わたしはなんとなくですが、拍手しておきました。


「お母様、参りました」

 扉の向こうにローランと、パロットさんが立っていました。

「まあ、みなさん。立ち話もなんなので座ってください」

 二人は不審な顔をしつつも、おとなしく座ってくれました。


「では決まったことを発表します」

「相談ではないんですか?」

 ローランは口をはさむのが早いです。

「決定事項です。リースマン領に工場を作ります」

「……は?」

 パロットさんがおずおずと手を上げました。

「あの……それは、どのような?」

「出資額はリースマンと、商業ギルドが半分ずつ出し合います」

「……は?」

 ローランの口は、「は」の形のまま固まっています。

「今回の持ち出しは、白金貨一枚です」

「それがどういった額か理解されていますか?」

「もちろん、少なくない金額ですが、リースマンを支えてくれる産業になるはずです。《商機》がありますから」


「……意味が分かりません」

「いずれ分かればいいです」


「それに……白金貨一枚と言いましたが、白銀貨一枚分は今、儲けました。なので家計から金貨九九枚白銀貨九枚です」


「ロバートさん、あなたは商売のプロですよね。大丈夫なのですか?」

「はい、私もこの商売には乗りますから、大丈夫にします」


「……なら、分かりました」

 ローランは、母の言葉よりも、ロバートさんの言葉を信じるようです。なんてこと……わたし信用ゼロみたいです。


 どうしましょう、リースマンに商機があるようです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。