↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お母さん転生する  作者: 大島Q太
商売のお勉強編
PR
47/73

03.お母さん、相談する

 


 執務室に戻ると、どういう商売をするかを紙にまとめることにしました。


 まずはジャガイモと、トウモロコシ。これは早急に銀貨三枚にしなければなりません。ジャガイモはコロッケとイモもち。そしてトウモロコシですが、こちらはまだ粉にするには乾燥が足りないので保留です。

 ですが、コーンスープを作ってみたいわね。ブイヨンがあるのだものおいしくできるはず。


 それにこの領は、小麦や大豆、畜産からくる恵みもたくさんある。

「そうだわ、日本にもあったじゃない。クリームコロッケを挟んだハンバーガーが、あれならほとんど、小麦粉とミルクだわ」

『まあ、面白い食べ物があるのね』

 アリシアさんが驚いた声をあげている。

 グラタンコロッケバーガーというのよ。とってもおいしいの。

『コロッケってあれね』

「そうそう」

『そうなると、飲食店を準備するの?』


 今のところそうなるのかしら、わたしができることなんて限られているし。お料理だけは主婦歴三十五年の経験があるから大丈夫かなって。

「一人ではできないわね。誰か相談できる人はいないかしら。料理はカイラーができるけれど、商売となると」


 商人に詳しい人と言えば、水路航行ギルドよ。物流のあるところ、商人ありだわ。

 そうと決まれば、動きましょう。まだ日は落ちていないわ。

『よしこさん、頼もしいわね』



 廊下に出ると、ローランが立っていました。

「あら、ローラン」

「……ついていきます」

 つんと顔は背けましたが、これ絶対断れないやつだとわかりました。

「これからカーミットさんのところへ行こうと思うの」

「それはいい判断です。土木ギルドより、信用が置けます」

 ローランの土木ギルド嫌いは根深そうですね。

「わかりました、では行きましょう」


 スコットさんに荷馬車を借りて、さっそく水路航行ギルドに向かいました。


 そこで気づいてしまいました。土木ギルドの村へ行く道は、この道よりも滑らかでした。なんだか、気づきたくない現実です。


 水路航行ギルドにつくと、とっても歓待されました。なんだかうれしくなります。

 ローランはカーミットさんを呼んでくると、ギルドの奥に行きました。


 * * * *


 応接室に通され待っていると、大きな箱を抱えたカーミットさんが現れました。ローランも後ろから入ってきてわたしの隣に座りました。


「お待たせしました。伯爵!これを見てください」

  カーミットさんの声はなんだか楽しそうに弾んでいます。


 大きな箱の中には三角のあれが入っていました。

「我々はこれを「三柱枠(みはしらわく)」と呼ぶことにしました。もう、商業ギルドにも登録しました」

「……もう? 実験は?」

「これから精度を上げていきますが、土木ギルドが登録する前にしておかないと……自由に使えなくなりますから」

「ああ……」

 先に思いついた者勝ちではなく、先に登録した者勝ちということかしら。

『登録にもちゃんと審査はあるはずよ』

 アリシアさんが教えてくれます。

「土木ギルドが先に登録したら、どうなってしまうの?」

「改良時にいちいち許可が必要になります。それでは、実用化に何年もかかってしまうことになる。……この三柱枠は、早く実用化させたかったので」

「……実用化」

「水害で困っているのは、リースマンだけではないのです」

 カーミットさんはそう言って、三柱枠と名付けたそれを撫でました。ああ、私の中途半端な記憶がこんな風に形になって誰かのお役に立つなんて。うれしいですね。

「頑張ってください。カーミットさん」

「はい!」


「あ、それで。今日は別に相談があって来たんです」

「伺いましょう」

「飲食店を開きたいんです。リースマン領で」

「なぜ、水路航行ギルドに?」

「物流と言えば、商人でしょう」

 そう言うと、カーミットさんが笑いました。


「私はおすすめしませんね」

 あら、カーミットさんまで……。隣を見るとローランが得意げな顔をしています。

「……ローラン君にも反対されたんですね」

「はい。あの理由を聞かせてもらっても? 領内でお金が回れば、人が集まると思うのですが」

 カーミットさんは、腕を組んでうなずいた。


「ええ、理論上は……私も専門家ではないので、詳しく説明できるわけではないのですが」

「はい」

「商売はまず計画と、資金を用意しなければなりません。それができたら、具体的に開店までの計画書を作成し、利益見込み……つまり利益が出る商売であると証明する必要があるんです。次に「商業ギルド」に審査要請しますが、計画が甘いと却下されることもあります。そうやって何度か、商業ギルドとやり取りをして、店を出すのにだいたい一年かかると思った方がよいでしょう」


「言いたいことは分かります。思い付きで始めるものではないと、言いたいのでしょう」

「……その通りです」

「ではただの思い付きではないと証明しますわ。しっかりと計画を立てればいいのでしょう?」

「……お母様?」

 カーミットさんは目を丸くした後、耐えきれずに「くっ……ふふっ」と吹き出し、ローランの顔を見ました。ローランも「だから言ったでしょう」と言いたげに呆れ顔で目配せを返しています。


 なに? 二人でなぜ笑って目配せをしているの?

 どうしましょう、二人が仲良すぎるわ



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。