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お母さん転生する  作者: 大島Q太
領地子育て編
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16.お母さん、家族会議をする

 


 コロッケは好評でした。食の細いソフィアもパクパク食べていました。ローランも最初は小さくぱくりとかぶりつきましたが、二口目は大きくかぶりついていました。一番貴族らしいあのローランがです。これなら、貴族相手でも売れるかもしれません。

 パロットさんも目じりが下がって、いい顔で食べています。


 そうね、次はイモもちでも焼いてみましょうか。醤油がないから、甘辛ダレは作れませんが、そのままでもおいしくできます。トウモロコシは、何本かパン窯の近くに干しています。その方が早く乾くとカイラーが言っていました。

 やっぱり、プロの方が効率の良いことを知っています。


 さて、これでジャガイモには目途がつきました。

 トウモロコシは、乾燥が終わらないと手が付けられないし。


 そう言えば今日の会合、参加していたのは男性ばかりだったわね。男性の仕事ばかり見てきたから、今度は女性の仕事ぶりも見てみましょう。と明日の予定を決めました。


 コロッケは、お肉の脂がまわっていて、おいもも甘く。とってもおいしいです。

 家族で食卓を囲んでいるから、さらにおいしく感じました。


  * * * *


 執務室に戻りこれからのことを考えようと、紙を用意している時でした。扉を叩く音が響きます。

「お母様、ローランです」

「どうぞ」

 入ってきたのはローランと、パロットさんです。

「あら、カイラーも?」

「呼ばれたっす」

 このメンバーを見るに、コロッケをどうやって銀貨三枚にするかを考えましょうってところね。


 皆さんが、中央の机に着いたので、わたしもその隣に座りました。

「お母様、今日は銀貨マイナス一枚です」

 さっそくローランから告げ口されてしまいました。

「え? あれ銀貨一枚で買って来たんっすか? やば」

「その銀貨はどこから出たんですかねぇ」


 カイラーとパロットさんの視線が強いです。

 一気に攻められてそっと、視線をよそに向けました。

「カイラー。本来ならどれくらいするものだろうか?」

「ジャガイモは木箱1つでだいたい銅貨二十枚から三十枚っすね。トウモロコシはちょっと安くて二十枚くらいが妥当です」

「つまり、銅貨二十枚ほど損をしていると」

「あら、思ったより良心的ね!」

 そう言うと、ローランに睨まれてしまいました。

「お母様、損です」


「今日使った材料ですが、玉ねぎ、肉。パン卵、小麦粉。それに揚げ油です」

 カイラーがそう言いながら、パロットさんに仕入れ値を伝えています。

 パロットさんは数字をさらさらと書いていき、ペンを置きました。

「今回コロッケの原価は、銅貨二十五枚です」

 それは高いの? 安いの?

「できたコロッケの数が、二十個ですから、一個あたりは約銅貨一枚と鉄貨二枚です」

「ならば、銅貨二枚で売れば利益が出るわ!」


「場所代、運搬費、売れなかった時の廃棄費用。そして人件費です。上手に揚げることができる人はそれなりの金額で雇わねばなりません」

 ローランが淡々と告げます。

「…………」

 とっても大変じゃない。


 なるほど。

 商売って、料理よりずっと難しいわ。ついボランティアで参加していたフリーマーケットの収支を想像していたけれど、あれはボランティアだったから元が取れたのね。


「コロッケで利益を出すには最低でも銅貨四枚で売らなければならない。庶民には高級ですね」

 パロットさんの言葉にローランはうなずいています。

「なら、イモもちはどうかしら?」

「なんっすかそれ!」

 カイラーが前のめりに聞いてきました。作り方をざっくりと説明するとカイラーは唸りました。

「いいっすね。それなら材料はジャガイモと、塩と、くず粉でできる……あ、でもくず粉はそんなにたくさん作れないっすよ」

「そこはジャガイモで片栗粉を作るのよ」

「ああ、奥様言ってましたね。なるほど」


 さっそく作ってみましょうか。そう言って立ち上がると、ローランがまた冷めた目で見つめてきます。

「……座ってください」

「はい」

 素直に座り直しました。パロットさんもカイラーさんも驚いた顔で見ています。


「パロットさん、カイラー。原価計算を」

『ほんと、ローランって頼もしいわね。よしこさんの暴走をちゃんと止めてる』

 アリシアさん?

「これなら、銅貨一枚で売っても利益を出せます」

 パロットさんが力強くうなずいた。でも、そうよね。わたしが突然言い出したことなのに、こうやってしっかり考えてくれるんだもの。ローランは優しい子ね。

『ほんとね』


「こういうのはどうだろう。今日食べたコロッケはほんとうにおいしかったです。ですから、コロッケは貴族用に。イモもちは庶民用に売り出してみては」


 あらローラン、コロッケも売ってくれるみたい。そう、おいしかったのね。こちらの息子もコロッケ好きになったわね。

『直樹さんのこと。思い出したの?』

 ええ、あの子も好きでね。よくリクエストされてたの。

『そう、ちょっと似てる?』

 いえ、ローランの方がかなりしっかりして男前ね。


「あ、そうだわ。ローラン。今度、ロバートさんが来るそうよ」

「は? 侯爵家の方がですか?」

 ローランがカッと目を開きました。怖い。


 どうしましょう。ローランってこんなに表情豊かなのね。




この世界の通貨 鉄貨10円 銅100円 銅貨10枚 千円 銀1万円 白銀貨 十万円 金貨 百万円 白金貨 一千万円 黒金貨 1億円 という感じです。

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