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お母さん転生する  作者: 大島Q太
領地子育て編
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11.お母さん、領の視察をする

 


 今日の朝食にはソフィアが座っていました。少し眠そうにはしていますがちゃんと、席に着いています。偉い!

 マーリンももう、隣には座っていません。


 メニューは卵焼きと焼いた野菜、パンとスープですが、とってもおいしかったです。実はうちの料理人って有能なのかもしれません。今度厨房にお邪魔してみましょう。


「さて、ローラン。今日も現場で学びましょう」

 キリッとした顔を意識して言いました。

「……はい」

 ローランの返事はきりっとしていませんでした。


 昨日、水路航行ギルドからもらった地図と、クッションを持ってさっそく出発です。

「お母様、そのクッション、カーミットさんから盗んだんですか?」

 ローランが半目で睨んできます。

「言いがかりだわ、カーミットさんが下さったのよ」

「欲しそうな顔をしたんでしょう」

 まあ、するどい。

「大丈夫よ、あちらは喜んでプレゼントして下さったわ」

「……はぁ」


 この国をざっと説明すると、北に突き出た半島の一部がこの国です。北に海があって、南に山があります。海の近くの広い平野部分に王都があり、そこから南へ行くにつれて、侯爵家や公爵家など、いわゆる大貴族と呼ばれる方たちの所領がひしめき合っています。

 そして我がリースマン領は、その南の山に近い場所にあります。

 平野も、川沿いにちょろりとあるだけ。それなのに、その川を大掛かりな治水工事で維持しているので、我が領は万年貧乏なのですね。主な産業はそのちょろりとある平野で、麦と豆。山に入って森林など。あとは、川で通行税を少々と言ったところです。


 今日も荷馬車に揺られます。一番開けているのが、水路航行ギルドの立つあたりですね。ここがリースマン領の主都でしょう。そして、集落としては、土木ギルドの側に数件、こちらは土木ギルド所属の皆様方の家でしょう。そして、山に近いところにある畑の周りに七つ村があります。


 リースマン領は一次産業しかないのです。

 フリマサイトでもビーズのままなら安いですが、ビーズ細工は高値で取引されていました。布のままより、バッグやぬいぐるみにしたほうが高く売れます。物の価値を一段上げるのが二次産業です。それがうちの領にはありません。

 材料ならあるのが我がリースマン領なのです。

 ならば二次産業を我が領に! そのためには何があるかを知る必要があります。


 そう決意も新たにしていると、第一村人発見です。

「こんにちはー」

「……こんにちは?」


 畑の脇にいた男性が、こちらを見上げて首を傾げました。

「この辺りの畑を見せていただいてもいいかしら?」

「え、ええ……伯爵様?」

「そうです、こちらは息子のローランです。以後お見知りおきを。ところで、この畑では何を?」

「今は豆を収穫する準備をしとるところです」

 まあ、若いときに収穫すれば、枝豆。大豆になったら、豆腐、豆乳。味噌、醤油よ。なんかあれにも良いのよね、輪転対策。畑に豆がなっているのをはじめてみました。

 あたりを見回すと、のどかな風景が広がっています。風が気持ちいですね。

 大豆畑の隣には、壁のない小屋がありました。

「ここは?」

 覗いてみると、そこに見覚えのある作物が干されていました。

「ここに干してあるものは?」

「……トウモロコシです」

 トウモロコシってあれよね。コーンベルトだったかしら、確かすっごく便利な食べ物だったはず。玲奈ちゃんの見ていたあの石のアニメでも見たことがあります。

 でも、帳簿にはそんな記載なかったわ。

「トウモロコシは出荷されないの?」

 男性は、頭を掻いて、辺りを気にするように見回しました。どうやら、わたしに気付いた村人たちがこちらの様子をうかがっているみたい。

「トウモロコシは、その……家畜のえさですけぇ。人間は……腹が減ったら食いますが……税のかかる作物ではありません」


 そうね、洪水で麦がだめになれば、彼らの食べるものは無くなってしまう。だから、細々と工夫をされているのだわ。

 あら……あちらの葉っぱには見覚えがあるわ。

「これも、家畜のご飯カッコ仮ですか?」

「かっこ? ああ、はい」

 そう言って、引き抜いて見せてくれたのはジャガイモだ。

「……ジャガイモね」

「これも……家畜用です」

 そんな、コロッケ、ポテトサラダ。フライドポテト。ポテトグラタン! じゃがバター。


「あなたたちってホントに素敵ね!」

 これは彼らの知恵で育てたもの。

「これは、ここだけで植えているの? それともほかの村も?」

 男性はわたしの勢いに驚きつつうなずいた。

「村長を呼びましょうか」


 そして、急遽村長宅で近隣村長会合が始まりました。わたしの剣幕に男性が慌てて人を集めに走ってくれたようです。他所の村からも人が着て、町内会議のようです。いえまさしく、町内会議でしたね。

 待っている間にうろ覚えですが、とうもろこしのひげを炒って、コーン茶っぽいものを作ってみました。村長たちは、コップを譲り合っていましたが、わたしがにっこり笑うとしぶしぶ飲み始めました。

「え、飲める」

 みなさん驚いていらっしゃいます。

「ええ、大概の葉っぱはお茶にできます」

 先ほどからローランが空気になっていたので様子をうかがいました。出来立てのコーン茶をおじいさんみたいにちょびちょび飲んでいます。

「どう?」

「なんか、あまい? 焦げ臭いです」

 それはただの炒りすぎだわ。ごめんなさい。


 そして、私も席に着きます。


 どうしましょう、皆の目が集まってちょっと緊張します。


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