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お母さん転生する  作者: 大島Q太
王都問題整理編
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17/72

17.お母さん、着々と準備する

 挨拶をして、部屋を出ました。

 そのまま、ドレスを抱えて、自室……扱いにしている部屋に戻ります。


「さて、やりましょうか……」

 ああ、貧乏性の性が……と葛藤しながら袖を取り外しました。

「ネリア、この袖の型を紙に写しとって」

 ドレスの開閉は背中のボタンで行うのですが、さすがに古いせいか欠けていたりします。それにスカートの裾もほつれそう。


 一度ドレスを着てみることにした。

「あら……胸が……くるしいわ」

 ボタンが上まで留められないことがわかりました。背中はボタンから編み上げタイプに変えなきゃね。

「ふむふむ」

 鏡で横と、後ろを確認します。薄い黄色はそのままだと可愛いけれど、襟ぐりや裾に薄い緑を足すと落ち着いた雰囲気になりそうね、手間はかかるけど。


 そうだわ。まずイラストに描いてみたらイメージが伝わりやすいかもね。

「ネリア、紙と何か書くものを」

 そして、頭に浮かんだ改造ドレスのイラストを描いてみた。

「まあ、奥様のやりたいことがわかりました」

 そして、二人で手分けしてあとはひたすらチクチク縫いました。すごい、目がかすまない! 手が痛くならない! ちょっと同じ姿勢が続くと、肩は凝るけど。立って体操すればすぐに回復する若い体。


 扉を叩いて、トムが入ってきました。

「奥様、パロットさんと、ロバート様の話し合いが終わりましたので、確認してください」

「分かったわ」

 できたところまで確認してみる。あら、ほんとにいい感じ。でも……ドレスがこれだけシンプルだとやはり宝飾品が必要なのかしら。

『そうね。クラックガラスはきれいだったけれど……沢山は買えないものね』


「ああ!またお金だわ!」

 わたしはつい声に出して、叫んでしまいました。ネリアとトムが驚いた顔をしています。

「いえ、スカーレットと見習わなきゃ。アイデアと工夫で……何とかしましょう。どうせ、会食なんて一日だもの。その一瞬だけ整っていればいいのよ」


 わたしはトムの後をついて、ロバートさんたちが待つ部屋に戻りました。

「お待たせしました」

 机の上に書類が綺麗に並んでいます。書類についてはロバートさんが説明してくださり、数字についてはパロットさんが説明してくれました。

「ありがとうございます」

 わたしは書類の細かな字までチェックして……気を付けないととんでもない但し書きがあったりするのよね。そこらへんもじっくり読んでサインしました。

「では、試作品ができましたら、納品いたします」

 それよ! 試作品! 

「ぜひ、早めにできれば、すぐに……今すぐに!」

『よしこさん?』

 アリシアさんの戸惑った声が聞こえた。

 ロバートさんと、パロットさんも私の剣幕に驚いたようです。

「だって、とってもきれいなドレスに仕上がりそうなの。ただ、宝飾品が少し足りなくなりそうなのよ」

 慌てて弁解すると、男性二人は目を合わせて、こちらを見ました。


『よしこさん。その言い方だと、宝飾品を贈ってくれって言ってるようなものよ』

 まあ、なんてこと。

「お二人が考えているようなことじゃなくて。えっと」

 お二人とも、明らかにほっとされました。


「もちろん、プレゼントをするのは嫌ではないのですが、その……既婚女性に贈るのはいろいろと問題が……」

 ロバートさんが珍しく言葉を濁しています。

「ああ、そうよ。既婚女性で思い出したわ。パロットさん、あなたの元奥様に伯爵家名義で贈った品を回収したいの」

「……え?」

『よしこさん? 今それを言ってしまうの?』

 アリシアさんが慌てた声を出しています。


「だって、伯爵家のお金で買ったなら伯爵家の資産でしょ」

「それは何というか……無理では……?」

 ロバートさんが困ったように呟き、パロットさんを見つめました。

「あ、いえ。ちょっと待ってください」

 パロットさんは、顎に手を当てて考えています。そして、ぱっと明るい顔をされました。

「確かに……既婚女性に堂々と贈答品は買えません。結果、ブライアン様は書類上リースマン伯爵宛に買ったことにしておりますので……できますね」


「ならば、回収は……?」

「……できます。執行しましょう!」

 なぜか、パロットさんはすごく悪い顔をしていましたが、見ないふりをしました。


 どうしましょう、でも今日明日の話にはならなそうね。


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