第3話 文化祭まであと一か月③
その後も話し合いは進み、担当決めが始まった。
「じゃあ、ライブ担当はこっちね!」
「装飾班はこれくらい予算欲しい!」
「衣装代も結構かかるよね。」
クラスの中心では、楽しそうな声が飛び交っている。
やがて、文化祭実行委員が黒板に予算を書き始めた。
「学校からの支給金とクラス費を合わせて、今年の二年D組の予算は約三万円です。」
教室が「おぉー」とざわつく。
しかし、その直後だった。
「で、ライブ班、衣装班、装飾班、宣伝班……それぞれ予算を振り分けるけど――。」
クラスの中心メンバーだけで話がどんどん進んでいく。
「裏の休憩時間担当は二千円で十分でしょ。」
「どうせ客も少ない時間だし。」
「余った備品使えば何とかなるって。」
誰一人として反対する者はいなかった。
黒板には、はっきりと書かれた。
休憩時間担当・F班 予算 二〇〇〇円
六人は言葉を失う。
三万円ある予算のうち、与えられたのはわずか二千円。
文化祭の主役どころか、最初から「いてもいなくてもいい班」と決めつけられたようなものだった。
高校二年の文化祭。
一番思い出に残ると言われる学校行事。
その舞台に立つ前から、自分たちは脇役ですらない。
そんな現実を突きつけられた。
「……悔しい。」
教室の片隅で、ワッちゃんがぽつりとつぶやく。
その一言には、怒りと悔しさと、やりきれない思いが詰まっていた。
誰も返事はできなかった。
六人とも、同じ気持ちだったからだ。
沈黙が流れる中、小柄なモリが周囲を気にしながら、小さな声で言った。
「……ねぇ。」
6人の視線が集まる。
「放課後、どこかで集まって話さない?」
その提案に、誰も反対しなかった。




