第2話 文化祭まであと一か月②
班ごとに机を寄せ始めた教室は、一気ににぎやかになった。
「うちら衣装班ね!」
「俺、照明やりてー!」
「ライブステージは体育館っぽくしたくない?」
あちこちでアイデアが飛び交い、笑い声が絶えない。
その一方で、窓際に集まった六人だけは、ぎこちなく顔を見合わせていた。
「えっと……。」
小林が遠慮がちに口を開く。
「私たち、何を担当する?」
「アイドルカフェって言われてもなぁ……。」
と石井。
「歌もダンスもできないし。」
大竹が頭をかく。
「接客も、あんまり自信ない……。」
伊藤が小さくつぶやく。
渡辺も苦笑しながら肩をすくめた。
「コスプレイベントなら分かるんだけどね。」
石井は腕を組んだまま考え込み、大森は周りの様子をちらちらと見ている。
六人とも、どう話を進めればいいのか分からなかった。
その様子を見ていた教室の反対側から、くすくすと笑い声が聞こえてくる。
「見ろよ、あいつら固まってる。」
「何も決まってねぇじゃん。」
そして、一人の男子が聞こえるような声で笑った。
「お前らじゃ客来ないからさ。」
周囲がさらに笑う。
「休憩時間用の捨てシフトでいいんじゃね? (笑)」
「それなら売り上げ落ちても仕方ないし。」
「むしろ裏方だけやっててくれよ。」
教室のあちこちから失笑が漏れる。
六人は何も言い返せなかった。
伊藤は膝の上でぎゅっと手を握りしめる。
小林はうつむき、渡辺は悔しそうに唇をかんだ。
石井は拳を握るものの、言葉が出てこない。
大竹は無表情のまま机を見つめ、大森だけが小さくため息をついた。
教室には再び楽しげな話し声が広がる。
その輪の中に、六人の居場所はなかった。




