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文化祭! アイドルカフェを成功させろ!  作者: 小兎


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12/23

第12話 文化祭1日目 ①


 十月三十日。


 待ちに待った文化祭初日。


 この日は在校生のみが入場できる校内公開日だ。


 朝から校舎はいつもとは別世界だった。


 廊下には色とりどりの装飾が並び、生徒たちは思い思いの衣装に身を包んで歩き回る。


 あちこちから呼び込みの声が響き、学校全体が祭りの熱気に包まれていた。


 一方、その喧騒から少し離れた特別棟二階。


 第二被服室。


 ここが六人の秘密基地だった。


 イッチが所属する手芸部の活動場所であり、事前に顧問の先生へ事情を説明して使用許可をもらっている。


 クラスに用意された控え室は使わない。


 余計な詮索をされたくなかったからだ。


 部屋には衣装を掛けたハンガーラック。


 裁縫道具。


 メイク道具を並べた机。


 そして、段ボールに入ったクッキーの箱がきれいに積まれている。


 まるで、小さな舞台裏だった。


「本日分の物販30セット。明日の40セット」


 コバが箱を開け、一つずつ数えていく。


「……OK。」


 袋詰めされた三色ハートクッキーは、一つひとつラベルまで丁寧に貼られていた。


「釣り銭。」


 モリがケースの中身を確認する。


「百円……。」


 電卓をたたきながら数え終える。


「OK。」


 イッチは衣装をもう一度チェックし、糸のほつれがないかを確認する。


「うん、大丈夫。」


 ワッちゃんは鏡の前で腕を組んだ。


「男子。」


「今日は学校の制服のままでいいよ。」


「え?」


 タケちゃんが首をかしげる。


「着替えないの?」


「まだね。」


 ワッちゃんは時計を見る。


 時刻は午前八時四十分。


「私たちの担当は十四時五十分から。」


「それまでは制服で十分。」


「髪型とメイクは本番の直前にやるから。」


「了解。」


 三人は素直にうなずいた。


 文化祭当日とは思えないほど、六人は落ち着いていた。


 焦る必要はない。


 準備は、この一か月でやるだけやってきた。


 あとは、その時が来るのを待つだけ。


「じゃあ。」


 コバが紙コップにジュースを注ぎながら笑う。


「十四時五十分までは、のんびり文化祭を楽しもうか。」


「賛成。」


 六人は顔を見合わせ、小さく笑った。


 誰も知らない。


 この静かな第二被服室で、その時を待っている六人が、数時間後に校内の話題を一変させる存在になることを。

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