第11話 それぞれの1ヶ月 ④
シフト
第1枠09:00~10:10Bチーム
第2枠10:10~11:20Cチーム
第3枠11:20~12:30Aチーム
第4枠12:30~13:40Eチーム
第5枠13:40~14:50Dチーム
第6枠14:50~16:00Fチーム
文化祭前日。
教室の後ろに置かれたホワイトボードの端には、シフト表が乱雑に書き殴られていた。
誰が見ても分かる。
人気の時間帯はすべて先に埋まり、最後に余った枠だけが残されたのだと。
黒板の隅には、申し訳程度にこう書かれていた。
14:50~16:00 第6枠 Fチーム
クラスの中心メンバーにとって、それは「捨て枠担当」というだけの意味だった。
客足も遠のき始める時間。
売れ残りが出れば片付けもしなければならない。
文化祭終了後の清掃もある。
面倒な仕事をまとめて押し付けるには、ちょうどいい枠。
そんな程度の認識だった。
「結局、最後まで雑用係ってことか。」
イシイが不機嫌そうに言い捨てた。
「まあ、今さらだよ。」
タケちゃんは肩をすくめた。
モリも苦笑いを浮かべるだけだった。
その横で、ワッちゃんだけは何も言わず、自分のノートを開いていた。
シフト表をじっと見つめる。
そして、
14:50~16:00
その時間を、丁寧な字で書き写した。
「ワッちゃん?」
イッチがのぞき込む。
ワッちゃんは小さく笑った。
「……なるほどね。」
「え?」
「これ、悪くない。」
コバが首をかしげる。
「最後の枠なのに?」
ワッちゃんは静かにノートを閉じた。
「うん。」
「むしろ最高。」
五人は意味が分からず顔を見合わせる。
ワッちゃんの頭の中では、すでに別の景色が見えていた。
黒板の端に殴り書きされたタイムテーブル。
『第6枠 Fチーム』という文字は、クラスの中心メンバーが「片付けと売れ残り処理を押し付けるため」に残した、ただの残り物だった。
だが――。
それは、ただの残り物ではない。
校内発表の最後に、一番強烈な印象だけを全校生徒の記憶へ焼き付けるための時間。
「もっと見たい。」
「明日も行こう。」
その感情だけを残して幕を閉じる。
翌日の一般公開日に向けて、期待を一気に高めるための――。
完璧な布陣だった。




