表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君を愛す気はない?どうぞご自由に!あなたがいない場所へ行きます  作者: みみぢあん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
16/22

16話 うわさ話


 セイン・ガルフェルト侯爵とマリエルが結婚し、一年が過ぎようとしていた。

 王立騎士団の部下たちは騎士の待機場所で、幸せそうな上司セイン・ガルフェルト侯爵のうわさ話で、毎日のように花を咲かせていた。



「おい、見たか? 奥様に子供が産まれたからって、副団長が一日じゅうニヤニヤ笑っていたぞ」

「何を今さら言っているのですか。副団長のニヤニヤ笑いは、奥様と結婚した時からじゃないですか」


「いやぁ~前の結婚の時はずっと副団長の機嫌が悪かったけど。本当に結婚相手との相性が大切だってことだな! お前も気を付けろよ?」


「ハハッ! その前に……結婚相手を私に紹介して下さいよ!」

 若い騎士は苦笑する。


「それなら、こっちが紹介して欲しいぐらいさ。お前に年頃の姉妹はいないか?」

「アハハハッ!」


 朝から晩まで忙しい王立騎士団の騎士たちは、自力で結婚相手を見つけようとすれば、困難を極めることになる。

 独身の騎士たちに見合い相手を紹介するのも、良い上司の条件の一つなのだ。



「ああ、そう言えば……ギリスの話を聞いたか? あいつ、近衛騎士団をクビになったらしいぞ」


 ガルフェルト侯爵夫妻の浮かれたうわさ話とともに。以前、王国騎士団に所属していた男の名前が、久々に騎士たちの話題に登場した。


「え! 何でまたクビになったのですか?」


 あれだけ自分たちに近衛に行くことを自慢していた男が、「たった一年しかもたなかったのか?」 ……とギリスの元同僚騎士たちは顔をしかめる。


「護衛対象の王女にもっと美形の護衛騎士が良いと。ギリスは毎日、嫌味を言われていたらしくて……それで耐えられずに、王女殿下に暴言を吐いた。……という話だ」


 王族に不敬な態度をとって、何らかの重い罪には問われず。近衛騎士団をクビになっただけで済んだのだから。

 ある意味、ギリスは幸運だった。



「あの人、口が悪かったからなぁ。……だってほら! 副団長の奥様はあんなに美人で親切な人なのに。地味だの、何だのと、聞くのも不愉快な悪口を言っていたでしょう?」


「ギリスは自分が言っていた奥様の悪口を。近衛に行ったら自分が王女殿下に言われて、切れたということか。自業自得だな」


 話を聞いた若い騎士は、「言われてみればそうだ」とパチンッ!と指をならした。


「まったく……ギリスのバカはあんなに美人で優しい奥様と、夫婦になれるチャンスをもらったのに。本当に愚かな奴だよ」


 厳しすぎる副団長の足りない部分を補うように。

 子供が産まれる前までガルフェルト侯爵夫人は、騎士たちの待機場所へ毎日来ては、美味しいおやつを差し入れてくれた。


 ……時には騎士服の取れかけたボタンを、カバンから出した携帯用の小さな裁縫道具を使い、その場で付け直してくれたり。


 侯爵夫妻が婚約したばかりの頃は、二人の身分の格差から結婚に否定的な意見を持つ騎士もいたが。

 今のガルフェルト侯爵夫人は、王立騎士団の騎士たちにとって尊敬の対象となっている。


「あんなに優しい奥様の悪口を言うなんて。ギリスさんはすごく意地が悪い人でしたから……」


「そうだな。あの頃はギリスと一緒に私たちまで奥様の悪口を言っていると、副団長に誤解されたらどうしようかと、ヒヤヒヤしていた覚えがあるよ」


「自分の口の悪さが結婚を壊したのに。ギリスさんはずっと奥様のせいにして、悪口を言っていましたからね。あの人が王立騎士団からいなくなって、どれだけホッとしたことか」


「剣の腕もあったし仕事もすごく出来たから。性格さえ悪くなければ、出世できたのに。本当に残念な男だったな」


「ええ。あの人はどこへ行っても人騒がせですね」



 騎士たちは当時のことを振り返ると、うんざりとした気分になり。

 ハァ―――ッ…… と大きなため息をつき、やれやれと首を横に振った。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ