熟成
もうずーっと書いてますね。ペースがきもいくらいでしょう。急にスミマセンね。
テヘヘ。
鬼。今まで目の前のコイツに抱いていた印象だ。
だが、間違っていた。
俺の想像している鬼は、ただただ圧倒的な力を以て人の恐れを生む存在だ。
しかしコイツは、その精神性までもが人の想像の域を遥かに凌駕する理解不能の悍ましい、怪物だ。
何を考えている?その気味の悪い笑みは何なんだ?俺が泣くと、コイツも泣いた。そして自分の涙を舐めて、俺の涙も舐めた。
気持ちが悪い。
もう僅かの意地で咥え込んだ足も離してしまった。
初めて感じた。
生命レベルの、本能レベルの、絶望。
コイツはトコトンやる。
確信を通り越し、それは当然のことであると、心に刻みつけられた。
「(^^)」
怪物はただ笑っている。
俺は動かなかった。
俺は何をされるのだろうか。どうなってしまうのだろうか。
…早く、噛みちぎらなきゃ。
再び踵にかじりつく。鋭い痛みが走った。だが気にしてられない。早くやらないと、とんでもない目に遭う。早く早く。
バッチーンっ…
「…フがっ…ァっアッ…!ァアッァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッ!!!」
「別に悪くないんだけど、贅沢を言うと個人的にそういうのは良くないと思うんだ。好みの展開じゃない。」
何で?まだ時間じゃないはず。何で?何で?!!!?痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!
「違うんだよ。そういうことじゃあないんだそういうことじゃ。ただの動くお人形だの獣だのに興味ないんだ僕は。そういう理由からの罰だ。今のは」
なになになになになになになになに??
どういう、?どういうこと?何なんだよ?!
どういうことなんだよ!!!!意味わかんねぇよふざけんな!!!
「ん?」
「アッ…………」
言葉が出ない。ブルっちまって、声が…出ない。ふざけるな。ふざける……な……
「……寝てしまった。…気絶?白目剥いて泡もぶくぶく…叩いて起きるかな?」
バチンっ
「………」
「起きないや…まぁいいか。寝てる間は交代してもらおう。」
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「おはよう!天井突き抜けだから朝日が当たって気持ちがいいね!」
「…え?」
あれ、俺は、何を?…まさか寝たのか?…!!!
「おい!今って」
「察しの通りとっくに2日目だよ。しっかしよく寝てたね。あのあと連打に移行してもらったと思うんだけど、ずっと起きないんだもん。普通痛みで飛び起きるレベルだよ?よっぽど怖かったのかい?僕。コレでも大分丸くなったんだけどなぁ…ショックだなぁ…」
……思い出した。見つかったあとあまりの感情の大爆発に耐えられなくて気絶したんだ。寝たら少しマシになったが、あの絶望感。自分がちっぽけな小蟻にでもなった気分だった。思い出すだけでだんだん吐き気がしてきた。
だがそれよりも、何よりも俺の心を蝕むのは、
あの屈辱だ。
二度と味わいたくない。
そうなるくらいなら………
そうなる…くらいなら………!!!
………この先の言葉を、心の底から言える気がしない…?
どうして?
あれほどの屈辱を経てなお、何かが邪魔をする。
というか、まずい。゛次の日 ゛ が来てしまった。
「まぁ、でも大分元気になったようで何よりだよ。いい顔になってる。多分。
さて!今日から僕が昨日脳をフル回転させて考えた今日のメニューを発表しよう。」
回転ホワイトボード。この世界にもあったのか。
ハデスが意気揚々とボードをひっくり返した。
するとそこには、
「……しかく?」
「そう、四角。箱だよ。サイズは…120cm✕120cm✕120cmの立方体。特殊素材でできていて外の音は一切聞こえない。内側に空間があって中に入れるけど、中からは一切開けることはできない。
そして、ここからが真に驚くべき機能。」
「それは…?」
「それは…中にいるものの状態をそのまま保存できる!つまり!この中にご飯を入れても腐らない!お湯をいれても冷めない!新時代の保管機能付きの魔導具だよ!」
「……」
長々と時間をかけて便利グッズを紹介された。
欲しい。普通に欲しい。…んなわけあるかい。どうしてこの流れでこんなふざけたことをしたのだ?…いや待て。待て。…まさか。
「しかし注意点があってね、人間が入ると何故か【意識だけは継続して残り続ける】んだよ。」
まさか!!!!!
「脳含めた全ての臓器の機能は止まってるから意識が残るなんておかしいんだけどね。まぁでもその点目を瞑ったら排便も食事も必要なし。お手軽便利な仮死状態って奴を箱に入ってる限り身体の状態をキープしたままで保てるって訳。
簡単に言えば実質的な不老不死だね。」
「なぁ」
「?」
「あんたってもっと…こう、派手なのの方が好きじゃないわけ?血がバカみたいに出たり、グロッキーなやつ。あとジワジワ痛めつけて反応楽しむやつ。そういう派なイメージだったんだけど。」
「もちろんそのとおり。よく分かったね。
…でもね、なんか怖くなったんだ。」
「…は?」
「君、昨日一瞬、隠し事のこと忘れて、ただ僕が怖いから逃げようとしたでしょ。君は素晴らしい逸材だけど、一度恐怖に行動を支配されてしまった。あの一件以来どうにも不安なんだ。
観察した結果から考えるに、君はかなり不安定な精神状態のようだ。急激で規格外の刺激に対しあまりに弱い。というより、耐えうる器の形成がまだ終わっていない、といった方が正しいかな?
君が駄目なわけじゃない。君の成長度合いに対して環境の変化が早すぎるだけだ。
だが、今はそれではダメなんだ。
ここで、アプローチを少しでも間違えたら僕はこの魔生における多大なる損失になる。そう感じた。
だからね、君を育てることにした。
僕も苦しいが、それ以上に大事な問題だからね。君をきっちり丁寧に拷問(手入れ)して、君の心の成長を待つことに決めた。
正直に言おう。僕はその先で君が得る答えにある種信仰とも言える根拠のない希望を抱いている!!
だから、頑張るんだよ。1番。」
「……は?」
瞬間、視界が急に暗転。そして体勢が体育座りになった。やられた。堰をきったようにとんでもないスピードで箱の中に突っ込まれたようだ。
状態がより深刻で期間の短い五億年ボタン…てところか?
文字通り何の刺激もなく、人はどれほど正気を保っていられるのだ?
普通あり得ないこの状況だと目安がわからない。
アイツ馬鹿か?俺を殺したいのか?
とにかく今俺にできることは…………………
…気をしっかり持つことだけだ。
読んでくれてありがとうございます!
そして生まれてきてくれてありがとうございます。




