生命を尊ぶ
どーも!!
最近は暇になりましてじゃんじゃんつい書いちまいますわ。
この勢いでなんかなろうで、書籍化とかできねぇかなぁ。
「楽しいね、1番。」
「………」
「うん!偉いね。ちゃんと関係のないことは言わない。2回…実質1回かな?それで学べたのは君が初めてかもね。」
「………」
「すごいね!かれこれ5時間だから…30回!普通ならもう肉に到達してるよ。やっぱり1番はすごいなぁ。」
このイカれ野郎はぶち殺す。絶対殺す。調子に乗って馬鹿面晒してるこいつのケツにその手垢塗れの杖ぶち込んでやる。
…と言ってキレてる場合でもない。時間は有限だ。もしこのまま今日が過ぎればまずい。ハデスは拷問は1日1種類といった。つまり、今日耐えきったら明日は俺の再生力を踏まえたうえでのとんでもない拷問が待っている可能性が高い。そうなればもうマトモな思考などできはしない。話すか話さず死ぬかの2択だ。
就寝時間、食事の時間にチャンスがあるかもとも考えた。しかしどうやら拷問は交代して行われているようだ。おそらく拷問は24時間体制で就寝時間などというものはない。寝不足で死にかけたらどうなるか分からないが、少なくとも俺にそれはない。食事は変な四角い塊を食わされた。不味いが腹は膨らんだ。10秒ほどで済むため食事時間もない。トイレは部屋にある箱にするスタイルだ。ホントに最悪だった。
まぁつまりどういうことかといえば、
チャンスは今日だけということだ。
「1番。何その辺キョロキョロしてんの」
どう脱出するか考えてんだよタコ。考えろ馬鹿。
というかさっきから不思議なのが、ほかの部屋の拷問官は3時間ごとに交代しているが…コイツだけ交代しない。ずっとこの部屋にいる。シフトが他と違うのか?
いや、周りを見ていた限りでは全員同タイミングだ。全員同時に交代しているように見えた。シフト時間は統一されている。コイツだけ異質。何か他と違う。
「どうしたんだ?1番。僕の方を見て。…まさかこのタイミングで話したくなるなんてことな………いやいや失礼。この発言は立場上宜しくないね。」
勝手に一人で喋ってるのを見ていて気がついたが、どうやらハデスは拷問が大好きなイカれ野郎らしい。言動や仕草の端々から嫌でも感じる。俺の隠し事に気がついた時も、
不審な点を怪しんだ、というより
拷問する建前ができた、と言う反応だった。じゃなきゃあんな恐ろしい笑顔ができるものか。
思い出しただけで鳥肌が立つ。
「…自分で言っといてなんだけどさ、10分って思ったより長いね?悪いけどなんか喋って貰えるかな?そんなお人形みたいにお利口にして貰って悪いけどかなり暇なんだ。」
暇しとけ。
さて、脱出ルートについてだ。
非常にこれはやりづらい。この建物全てがスケスケだから脱出なんて試みた時には即、全職員にバレてしまう。コイツらは魔術とかいうのを使ってくるから身体能力で振り切れるという確信が持てない。そこは一旦置いとくとしよう。
鬼門がこの、ハデスだ。
「あと…5分…!?まだ半分だと。壊れているのかな?この腕時計。」
魔術云々以前の問題だ。どう見たって化け物。
3mはあるであろう上にその筋肉量。魔族…人の亜種にしたってここまで人間離れしてることってあるのか。見かけ倒しでないことは初対面で立証済み。鬼を思わせる体躯に加え魔術なんて使った日にはもう俺みたいなのはすぐ壊されてしまう。
そして最大の問題が、
カキンっ
この錠前だ。腕も足も両方ピタッと纏められてしまっている。そしてこの錠前分厚い。直径3cmはある。両手足両ともにぴったり密着した状態からではどうやっても破壊することは困難。筋肉を肥大させることさえできれば話は変わるだろうが、腕立てしてたら横っ腹を蹴り飛ばされ鋭いツッコミをいれられてしまったためそれも難しいだろう。
だがまず錠前をどうにかしないことにはお話しにならない。
杖叩きを利用して破壊してもらう?
どう考えてもパワーが足りない。
何かしようにも監視が文字通り全方位からある密室では時間をかけた小細工などもできない。
…これあれか。
クソゲーって奴か。
「あ、あと1分!長いなぁホント。余計な約束してしまったかなぁ。」
どうする?何も思い付かない。…だが今日何とかしなければ、詰む。何かないのか?都合よく何か、小型金属切断マシーンのようなものは。
「よし!あと10」
そんなものはない!わかっている!!
「1!よし!」
バッチーンっ…
「!!!ハァッッッ………ァ………ァ!…………ヵ…………ァッッッッッッ!!」
「もはや喉も枯れたみたいだけど、やっぱいい顔するねぇ。知ってた?痛みって、一生慣れないんだよ。」
とんでもない刺激。身体が無意識のうちにビクビクとのたうち回った。相変わらずふざけた痛み。
かれこれ5時間経ったらしいが、外の様子を見るにまだ昼過ぎといったところか。ポジティブシンキングだ。時間的に余裕はある。大丈夫だ。何とかなるはずだ。
頭をまわせ。どうすればこの錠前を外すことができる?考えろ。自力で、すぐに外す方法。
「………」
実は、ある。瞬時にこの錠前を外す手段。
手足のダメージを無視して引き抜けば良いのだ。
手足どちらとも片方さえ抜ければいい。切断なり肉を削ぐなり、骨をめちゃめちゃに砕くなりやりようはいくらでもある。
後遺症もないのだからそれが1番合理的な選択。
だが、俺は今までそんな気の触れたような自傷行為などしたことはない!人に負わされる傷と自ら付ける傷とでは痛みの度合いがまるで桁違いだ。
どんだけ病んでもリストカットとかは絶対しないタイプなのだ。そんな俺が、できるというのか?…だがやるしかない。やるしかないのだ。今はそれしか、思い付かない。
やるんだ…やるんだ!
「……?どうしたのかな?そんな背を向けてうずくまって…」
切断は、だめだ。再生するかも分からないし、するとして物理的に時間がかかり過ぎる。骨を砕いたら音がなってバレる。
にくを、けずるしかない。どこを?手の場合邪魔なのは親指の付け根から。足なら、アキレス腱から踵の大部分にかけて、全部。
゛かみちぎるのだ ゛。
「…?」
怪しまれている気がする。さっさと…やらないと。足から。
…奧歯が、自分のアキレス腱にあたる。深々と自分の足を咥え込んだ。
今すぐ、これを噛みちぎらなければならない。
顎に力を加えた。
…痛くて力を緩めてしまった。
もう一度力を加えた。
今度はめいいっぱい覚悟をもって。
「…」
ヨダレが床に音もなく垂れる。
…噛みちぎれない。確実に噛みちぎれるはずだ。今の俺の身体能力なら確実に。こんなもの。
こんなもの!!!
今…今…今…そう今…………
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生き物という存在の、もれなく全てに言えてしまうことだが、その生命を奪うことは実に容易いことである。戦場では多くの生命を奪ってきた。必死の抵抗むなしく、これから自らが迎える結末を察し顔を歪め、最後にはその顔すら残らず散っていく。
その様が実に不愉快であった。
何故、この世界はこんなにも、醜いのか。
戦績が認められ軍の教官兼高位職の拷問官に任命されたが、嬉しくはなかった。どうせまた同じことの繰り返しだと思っていたからだ。
僕を変えた出会いは、初めて担当した最初の、1人目の拷問対象。
彼女は魔界の、人間に占拠された国に大荷物を持って1人で出入りしているところを目撃された。
彼女がその国で何をしていたのか。それを聞き出すのが僕の最初の仕事だった。
彼女は口が固かった。僕の拷問は先輩曰く「何もしてないのにこっちがゲロしちまうよ」というくらいだから効果はあったはず。
実際彼女は、メソメソ泣いていたし。
だが拷問は20日に及んだ。
過去最長記録であった。
僕の前職を踏まえても、やんわりと上司が注意してくるレベルだった。
だがそんなことはどうでも良かったのだ。
僕は分からなかった。彼女のケースだと、魔界でしか取れない特産品を行商に扮して人間に売るケースがほとんどである。罪には問われるが、情報など流していなければ服役期間も1ヶ月程度のしょっぱい罪だ。
事前に受け取った書類と実際僕が行った尋問から、情報も流しておらずそのケースであることは確認済みだ。
ただ、1つ。【罪を犯した理由】。
「金のため」
この質問を彼女にすると必ずこう答え、
必ず真偽の光玉が黄色く光るのだ。
嘘はついていないものの、彼女にとって何か大切なことを隠しているということになる。
僕はその時、微弱ながらも生まれて初めて、
何か素敵なものを自分の中に感じた。
何日かかってもいい。
彼女の隠しているもの。それを知りたい。
そう思った。
………そして拷問開始から157日、ついに彼女は話してくれた。
「…おねがい……します……おねがい…します…みのがしてください……おとうとは……」
彼女とその弟は魔族と人間のハーフだった。
彼女は行商ついでに弟に会いに行っていたのだ。人間の特徴を色濃く残した弟に。
彼女が捕まる直前に弟に会いに行った日、いつもの隠れ家を覗くと置き手紙があった。弟はどうやら幼いゆえの好奇心で、姉の住むこの国に来てしまっていたのだ。
急いで連れ戻そうと帰っている最中、タイミング悪く偶然通報され今に至る。
これが隠し事の全てだった。
新魔王様が即位された現在は法改正がされたが、
くだらないことに、当時のこの国では人間との関わり、交わりは全て重罪であった。破れば死刑、その子孫含めて。
つまり彼女は弟を守るため、正気をなくしてしまうほどの苦痛を157日耐えたというのだ。
そして、喋ってしまった。
喋った後、彼女はここに来てから1番苦しそうに泣いた。今までのどんなに苦しい拷問よりも苦しそうだった。言葉にならない言葉を連ねて、ボロボロになった身体を、頭を、爪のない手で掻きむしり、歯のない口で噛んだ。
彼女の慟哭が心臓に響いた。部屋を揺らした。
それは、初めて聞いた戦場の大砲の音に酷似していたようにも感じた。物理的にだけでなく、心の中をも揺らされた。激しく、中毒的な衝撃。
苦しみに歪む表情など、死に恐怖する様など見飽きるほど見た。不愉快とさえ思った。
だがその時理解できた。
彼らの絶望、苦痛、痛み、悲しみ。僕が多く奪ってきた生命の背景は、こんなにも美しいものだったのだ!!
その美しさの証こそ
「うぅぅぅうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう」
この叫びだったのだ。
この悲痛だったのだ。
初めて知った、生命の尊さ。
言いようもない素晴らしさを覚えている。
この日から僕はこの仕事の虜になった。
1番。戦場以外で初めて出会ったこの人間。
彼も何かを隠している。何かを守護している。
最近ではなかなかお目にかかれない逸材だ。
君は一体どんな風に輝くんだろうか。
ずっと、ずっと楽しみに待っているからね。
……おや?
うずくまって…何かしているのかな?
脱出を考えているのかな。金属の錠前は流石の人間の力でも破壊は困難だろうけど。
少し気になるし、あと7分もあって暇だし様子を見に行ってみようかな。
「はふっ……はふっ……………」
何やら ゛はふはふ ゛と聞こえる。噛みちぎろうとしているのか?さすがに無謀かなぁ。
でも、いい。
そんなことを想像していた。だが彼の横に回り込んで正面を覗き込んだ時、
「はふっ……はふっ…………」
「え……?……♡…?」
口角が勝手に上がっていく。抑えられない。なんてことだろう。なんてことだ!!
マジにいってるのか!!!?
「はっ………ふっ…」
彼は、涙を流しながら自分の左足の踵辺りに噛み付いていた。噛み位置からは若干の血が見られるが、さほど大したものではない。ギョロリとコチラに向けた彼の目は新月の夜のように真っ暗だった。ヨダレがぼたぼた音を垂らしてたれている。
「…噛みちぎろうとしたの?……足。」
「フーー…フー……」
初めて見た。人間ってこんなに素敵なのものだったのか。
だめだ、笑みが抑えられない。こんなの知らない。初めてだ。すごい。言葉もどこからか溢れるように流れ落ちる。
「噛みちぎろうとしたけど…できなかったんだ。…頭ではやるつもりなのに身体が言う事効かないんだ!!……悔しいんだね!!情けないんだ!!
情けない自分が!!!無意識に自分を可愛がってる自分が!!」
「フー゛……フー゛……フー゛」
怒りきれてない。図星だったんだ。あ、涙がポロポロこぼれ落ちている。それでも足は離さないんだね。あぁでも声漏れてる。
「ぅう…」
「……うぅ」
同僚が言ってたっけな。ナンチャラ山の天辺から見る夕焼けに思わず涙を流したって。
誇張表現が酷いなと思って少しイラッとしたけど、
誇張じゃなかったんだ。
美しさって、限度を超えると身体から溢れ出てくるんだ。
「うぅ………」
気づけば僕も涙を流していた。その涙を舐めてみる。
しょっぱくて、とっても素敵な味だった。
1番のも試しに舐めてみた。
同じだった。
新たな気付きを得た。
僕たち、同じなんだ。きっと。
この世に生まれ落ちた生命って、みんな美しいんだ。例外なんてない。心からそう感じた。
決めた。
明日から全力で、君を拷問する。君ならきっと、とびっきり素敵なものを見せてくれるはず。
君が話すまで、絶対に離さないからね。
1番。
読んでくれてぇ!ありがとう!
完全に深夜テンションでーす!!
のほほのほ
の→お ほ→か にすると
おかかおか
おのののかにしたかったのにならなかった!
畜生!!




