ガラスのお城
久々ぁです。
もう全くやる気しなくてね。サボってました。
すみません。1月空いたのはじめてか?
いやはや…
「起きろってんだよォ゙!!!!!!」
ドゴォ!
コメカミに鋭く重い痛みが走る。
この世界に来てから、毎度毎度寝覚めが悪いったらない。だいたいあの森を出てから碌な出会いがない。アマンの印象から魔族って割と物分かりがいいものと思っていたが、ボコされたり規格外のリンチに遭ったり追い回されたり…碌な思い出がない。穏やかさが欠如している。
それで今は殴られ怒鳴られるし。
というかここは?揺れが酷い。
どこかに移動しているのか?
「…ッてぇぇなぁ!!!!!?あぁ!!!!!?」
「あ、起きた」
なんだコイツ。何で殴って起こした?
コイツも見たところ魔族だが、何気に初めての男だ。何やら手と足に錠前が施されている。罪人かなんかだろうか。何者だ?
ひとまず身体を動かそうとしたときふと、違和感。
……俺にもついてる…………錠前。
「なぁ」
急に話しかけてきた。びっくりした。殴り起こしてきたくせに別にキレてるわけじゃないようだ。むしろフレンドリーで話しかけやすい印象。行動と態度にギャップがありすぎてめちゃくちゃ怖い。何考えてるんだろう。
「なに?」
「お前…人間、だよなぁ」
「そりゃぁそうだけど」
そう答えると魔族の男は何だか嬉しそうに話しだした。
「へぇ!やっぱそうかぁ!いやさ、人間なんて見たこともないからさ!もう軽くテンション上がっちゃってよ。なぁ、お前どうやって来たんだよ?こんなとこに人間が来るなんて聞いたことねぇよ」
全く読めない。錠前なんかつけられてる時点でどうせ碌な奴ではないことは明白だ。今までとは別種の危なさを感じる奴だ。用心だけしとこう。
「いや…色々あって追われてて…疲れ果てて、寝て起きたらあんたに殴り起こされたのよ。
もう何が何だか。」
窓があるが寝そべっているから空しか見えない。そのためここがどこだか皆目見当がつかないが、おそらく先ほどまで追いかけっこをしていた、超ど田舎からはそこそこ離れているだろう。そして今もなおこの乗り物はどこかへ向かっている。
終着点は、まぁ少なくともハッピーな場所ではないだろう。
ガブっ
「いてっ……」
「………」
腕を噛まれた。…なんだホントもう。結構痛い。血が出てる。歯形を通り越して噛み傷になってしまっている。
「おい、なん…なに?どういうつもりだ?」
「へ?…は、ほふは!ひふへふはやははひふはは!」
「喋るか噛むかどっちかにしろ!!」
「わりわり、いや人間にやったらどういう反応すんのかなぁって思って」
「どういうことだよ?」
「魔族なら男女問わずこのひと噛みでだいたい堕ちるからさぁ。人間はどうなのかなぁって」
そういえば魔族は闘争欲?なるものがあるんだったか。こういうので満たされたりするのか?闘争というかキツめのSMプレイのような気がしなくもなかったが。
「人間的にはちょっとよくわかんないかもしれないなぁ。普通に痛い。血もでたし。」
「へぇ」
舌なめずりをしている。コイツは変質者か。変質者だろうな。マジで何で変なのにばっか絡まれるんだ。元の世界では別にこんなよく分からんやつを引き寄せる体質とかじゃなかったと思うんだが。
こっち来て人体改造的なのしたせいだろうか。
…そういえば、ムキムキの脚がもとに戻っている。
あのパワーアップは一時的なものだったのか。良かった…ずっとあのままはなんか嫌だったから。
ガブっ
「脚を噛むな!!」
「物欲しそうに自分の脚見てたから…」
「見てない!」
「わりわり(ペロペロ)」
「舐めるな!!」
コイツ節操がない。
くだらないやり取りをしていたらどこからか声がした。コイツではない。この部屋?の外のようだ。
「黙ってろクズども!もうじき存分にはしゃがせてやる。」
「あーい」
「チッ」
どうやらそろそろ着くらしい。一体どこに連れて行かれるのだろうか。刑務所とか謎の施設の地下の牢屋とか?直前にあんなことがなければワクワクしたが、さすがにちょっとゆったりしたい。心身の健康には適度な刺激のバランスが必須なのだ。
…いや、身体に関しては無理が効きそうだ。
腕を何となく見ると先ほどの噛み傷がすでに完治している。この程度なら1分と待たず治ってしまうのか。面白い体になったものだ。オマケに筋肉に過負荷をかけると一時的にとんでもないパワーアップができる。スーパーヒーローにでもなったようだ。
「あれ?腕の傷、なくね?」
「あぁ、そういう体質なんだよ」
「人間ってすげぇんだなぁ」
そんな人間いてたまるか。
…ふと考えついたが、アマンは俺みたいのを下手すりゃ何人も作ることができてしまうのか。だったらば無敵の軍隊なんてものさえ作れそうだ。彼女がいながら何故今もなお魔族は人間に対し劣勢なのだろうか。
ガタァン!!
「ウォっ!!?」
急に揺れた。馬車みたいな乗り物なのだろうか?なにか小石でも踏んづけたか。
反動であの変質者の肩にに頭をぶつけてしまった。
「がっ!!!???」
変質者が変な声を出したと思ったら、肩を抑えてうずくまってしまった。かなり痛そうにしている。そんなに勢い凄かった訳でもない気がするが、肩から赤子でも生まれるのかってくらいの痛がりようでさすがに心配である。
「おい、大丈夫…」
ブォン!
鼻先に風が通った。変質者の裏拳が、俺の顔からほんの1cmほどのところを通過した。マトモに当たっていたら頬骨が砕けていた。
「あっぶ……?…………???」
驚いた。
もちろん今の突然の裏拳もそうだが、主なところとしては裏拳の後、こちらに見せた奴の様子にあった。
ヨダレを垂らして、全身をブルブル震わせてコチラを見つめている。その目に込められた感情は怒りでも憎悪でもない。それは驚愕。それともう一つ、もっと前向きで、だけど少し本能的なもの。
期待感
のようなものに見えた。
…気のせいだろうか。
明らかに乱れた呼吸。ハァハァという音が耳にはいる。
「ど、どうした…?」
「……」
顔を背けてしまった。…なんだこの空気。先ほどまでの騒がしさはすっかり失われ、かわりに何とも言えない微妙な空気があたりを包んだ。
肩にぶつかっただけなのに。何でこんなことに。
奴の方を見る。落ち着いてきてはいるがまだ震えている。
「そ、そんな痛かったのか?肩に何か古傷でも…」
少しでも空気を紛らそうと話しかけた時、扉が開いた。
「着いたぞ。とっとと出ろ。……なんだお前ら。盛ったのか?こんな状況でよくやるな…」
いつの間にか目的地に着いたらしい。あっという間だったような、長かったような。
運転手の人になんかとんでもない誤解をされているが、まぁいいだろう。どうせ2度と会わないし。
隣の様子のおかしい変質者は言われるやいなや即座に飛び出した。
俺も後を追うように外に出る。
足に錠をされているのを忘れてたのですっ転んで横になってしまった。立てない…。
外に出ると眩い光が目に飛び込んできた。何故だか眩しいのは少しトラウマだ。目を開けるのに多少勇気がいる。頑張って瞼を開ける。
あまりの光景に開けた瞼が閉じなかった。
俺の目の前に佇んでいたのは、見たこともないほど巨大なガラスの建物だった。建物の中には数え切れないほどの魔族がいた。その中で特に目に焼き付くのが等間隔に並んでいる魔族たちだ。
その魔族たちは明らかに拷問を受けていた。向こうの世界のネットで見たことのあるようなものもあった。
「こ、コレは…」
「君が知る必要はない。」
上から声。恐る恐る目だけをそちらに向けた。
「…鬼?」
思わず漏れ出た声をしまい込むように手を口に当てた。外見的特徴こそ魔族のものであったが、そのあり得ない体躯と圧倒的な存在感が、未だ会ったことのない空想上の存在を頭に想起させた。
なんて恐ろしい。
「担当拷問官のハデスだ。よろしく。
そして君は記念すべき1番だ。魔族の最高都市に初めて侵入した人間として君に与えられる名誉のナンバーであり、これからの君の名前だ。」
ハデス。確かギリシャ神話とかのなんかの神だ。すごく強そうな神だった気がする。その名を冠するこの男。拷問。ガラスの巨大拷問場。絶対ヤバい。なんかすごいこと言ってる。
足の錠を外さなければ…クソっ!なんて硬さだ。ただの金属じゃない。逃げないととんでもない目に遭う。
「さぁ1番。楽しみでウズウズしているところ悪いが、早く君に吐かせないといけないんだ。ついてきてもらうよ。」
頭を片手で掴まれた。馬鹿みたいな手の大きさだ。卵でも掴むかのように俺の頭を鷲掴みにしてきだと思ったら、持ち上げられ宙に浮いた。足が宙ぶらりんになった。体の重みで首にとんでもない負荷がかかり、その痛みは言いようもなかった。
「アァァァァっ!!!!」
「おや、なんていい声で叫ぶんだ!人間にも逸材はいるんだね。コレは仕事のデカさも相まってテンション上がっちゃうなぁ。久々に。
あ、運転手さんご苦労様です。ありがとうございました。」
「いえいえ、コチラこそどうも」
運転手が背を向け足早に立ち去る。
「さぁ、いこう」
「……」
「気絶してしまったか。まぁいいか。すぐ起こせばいい。」
「折れて…たま…るか………」
「あ、起きてた?すごいね。丈夫だ。」
見ていただきありがとうございます。
たまに数十人見ていただいてるの見るとニコニコしちゃいます。イェー




