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1-17 進化っていいよね!

1代目 探索と復興 2代目 発展 3代目 大敵との邂逅 4代目 連なる力と新たな力 5代目 真の敵 6代目 討滅 7代目 異なる空にて

 進化。生物の進化となるとそれこそ何千世代を経た結果の産物である。

 だがしかしゲーム的な進化はそうじゃない。

 ぽんぽん姿が変わる。アレがいい。ほんとに。


 前の要素を残して変化していくモノ。

 経験を素にガラッと姿を変えるモノ。

 どちらも私は好きだ。大好きだ。


「My new gear……」


 この新世代 DIVE MACHINE!


 このダイブマシンなら触ってモフれる!

 大きい子の背中に乗ってゴロゴロできる!

 口の中に入って食べられられる! ゲヘヘ


 そして話題のシリーズ新作! モンスタージェネレーションNEXT!

 寿命あり! 交配あり! 進化あり!

 これこそがわたしの求めるゲームなのだ!


 寿命……。これスゴく賛否両論あるのはわかる。

 でもね、寿命があるからこそ、有限の時間を楽しまなきゃこの子が可哀想と思えちゃうのさ。

 作ってお終いで牧場の肥やし。それだと私はやり続けられないのである。

 図鑑埋めだったりバトル要素だったりで、数が必要になったりするから、個体への思い入れが薄くなりがちなんだもの。


 でで、今回のゲームだと牧場自体はあるけど、同時に育てられるのは6体まで。連れ歩きは2体。

 オンラインの闘技場自体はあるけど、登録したデータを素に戦う仕組みで、過去の子の全盛期を残しておける!

 あの子に会いたい! と思ったら闘技場にいけば会えるのだ! 良い……。


「だいぶすたーと」


 待っててね! まだ見ぬ私の子達!






 高く青い空。流れ行く白い雲。

 鼻をくすぐる草木の青臭さ。肌を撫でる温かい風。

 掴めばボロボロとほぐれていく柔らかな土。


 気分は正しく転生っ! ゲームだけど!


 日頃のデスクワークで傷んだ肩とか腰とか……。

 もうこれらから逃げられるだけでも、この世界に来て良かったとしか思えないっ! 痛いもんっ!

 普段だったらこんな日差し浴びたら目の前真っ白よ? 寝不足の極みっ! ふへへへ……。


 その上バッチリ決めたアバターで生きられる? テンアゲテンアゲ!

 ボーナスとかもう色々と使いまくって、何とか手に入れたこの機体には、期待しかしてない!

 試乗体験だけでも超絶良かったけど! でもこのゲームをやれなきゃ買った意味がないのよ!


「大丈夫か? 君の種族であの森は一人で行くのは危ない。ひとまず命があって良かったよ。君の名前は……カナでいいのかな?」


 おっと物語が始まってしまった。

 カナ。そう私はカナだ。まぁ、本名は夏菜子だけど。

 私の趣味がゲームな事を知る人はいない。友達いないからね!


「すみません、お助け頂きありがとうございます」


 おじさん……の様に見えるけど、この世界のモンスターである。申し訳程度の角がモンスターだと主張してる。

 一部のモンスターは言葉が話せる。主に人型。

 なおコミュ障なので私はその方面の進化を好まないけど。


 話せるなら話せよ? 言いますよね? コミュ強の人は特に!

 それが出来たら苦労しないんですわ!

 社会人していく上で、ある程度はできなきゃと思って勉強はしたんですよ! 余計にぎこちなくなって死にましたわ!


 獣はいいですよね。言葉なくてもやりたい事を端的に伝えてくれます。

 言葉遣いだなんだと、本旨でない部分で突っかかってきたりしないし。

 仕事の関係なら無難だろう敬語での会話も、友人関係ならタメ語にした方がいいとか、お前とは心の距離を感じるだとか、もうやってられないんですわ。

 勝手に心の距離を感じてろー! ばっきゃろーい!


「そうだ。僕らの中の若い子と一緒に過ごさないか? 君の種族は攻撃力が皆無に近いしな」


 パートナーである。我らが希望。我らが道。

 かの子こそがこのゲームのテーマである。

 どんな子かなー? どの子を選ぼうかなー?


「出来るならぜひ!」


 特に寿命を延長するモノを使わなければ、一個体の寿命は約30日。最終進化までいってそのくらい。

 初期はステータスが低いから最終進化まで辿り着けず半月にも満たない寿命だったりする。儚い。

 だからこそ時間を大事に使おう。本当に。


「ならばよし。今いる若い子となるとあの家とそこの家だな。声をかけてみるがいい」


 家……。まぁ、うん。彼らが家だと言い張るならあれは家なのだろう。

 小山に開いた洞窟も家だと思えば家である。

 今回は一緒に住む子の家も整えられる。これを下回る家など作るわけがない。……効率厨は作るか。


 扉もない。洞窟……というには奥行がない。

 そんな場所に赤い玉みたいな子がいた。

 うん、本当に玉だ。黄色い猫みたいな目と口があるくらい。


「こんにちは。私と一緒に冒険しない?」


 弾みをつけて動いてる。

 頑張ってる感じがして可愛い。

 とてもいい。見てるだけでもとてもいい。


 あぁ、可愛いなぁ。触ってもいいかな?

 あ、伸ばしてた手にちょんちょんってしてくれてる。

 ねぇ、これはもういいって事だよね? だよね? 大丈夫大丈夫、ちょっとだけだから。


 ふむふむ……濡れたような感触。カエルっぽい?

 柔らかくてもちもち。吸い付く様なお肌。

 あ、触ってる手に体を擦り付けてくれてる……きゃわいい。きゃわいい。きゃわいい。


「お主も来たか。カナちゃんはこの者達に好かれたようだな」

 

 横を見れば青い子。肌質はちょっと鱗っぽい。

 ちょっとそっぽ向いてるけど、興味が強いのか、ジリジリと近くに寄ってきてる。

 きゃわいい。ぎゃわいい。えぇ、もうウチの子です。離したりするものですか。


 一緒に何して遊びましょう?

 あ、でもご飯を稼がなきゃ。

 今までのシリーズと同じならキノコがよく生えているけど、あれはあまり食べさせたくないんだよねぇ。


 痩せたり色々な効果があったりで面白いんだけどさ。

 なんか愛情を出せないというか、肉をあげたいというかね?

 自己満ですね、はい。しっかり食べてほしいんですよ。

 あと美味しいって喜んで食べてる姿ほどいいものはないじゃないですか!


「訓練施設はアレですかね?」


 ただまぁ、初期はどうしたところで、キノコしかあげられない。

 金なし、強さなし、そもそも購入先なし。

 見ての通りの廃村っぽい場所だし。


「お? よくわかったな」


 そうです。このゲームは復興もテーマにしてるのです。

 今までのシリーズだと場所固定だし、雰囲気の変更とかも出来なかったけど、今回はできそうなのがいいのよ。

 サンドボックスゲーの要素をいれたというのがもう神っ!


 容量バカ食いなのが難点だけど。何ペタバイトだっけ、これ。

 基本的にクラウド保存でやりくりしてるけど、バックアップのために定期的にオフラインに保存しないと怖い怖い。

 邪悪なるモノがクラウドサーバーを物理的に壊す事件とか最近あったしマジで怖い。データが吹っ飛ぶ。死ぬ。


「サンドバッグとか置いてあるので。まずはあそこで鍛えていい感じになったら辺りを探索してみようかなと思います!」


 いい感じもとい一進化したら。

 野良モン、いつも通りなら無振りじゃ勝てないくらい強いし。

 MPは戦闘中、少量だけど回復するし、序盤は攻撃上げて一撃必殺が楽だったかな。

 ここら辺は多分大きく変わらないと思う。


 防御面のステータスはカンストさせても最前線では2発程度で落とされるのもいつも通りかなー……。

 あれはマジキチ。こちらの必殺を何度も叩き込まないと勝てないのに。

 まぁ、だとしても好きなのだけど。


「わかった。もし何か聞きたい事があればあそこの建物に来るといい」


 あばら小屋。まぁ、パートナーの子の家を考えると建物があるだけ立派なのかもしれない。

 あれもストーリーが進めばいい感じに出来るんだよね?

 ……サンドボックスゲームの要素があるとなると、もしかして結構早い段階で加工できる様になる?


 地面とかブロック化して持ち運んだりとか、あちこち素材化も出来たりしない?


「すみません! 早速質問なんですが辺りをどうやったら加工とか出来ますか!」


 私が触っても何かが起きるわけでもないし。


「あぁ、カナちゃんは非力だから出来ないのか。一定以上破壊するとこの通り」


 槌を虚空から持ち出すと、おじさんは地面へと打ち付けた。

 打ち付けられた場所は不自然に四角く凹み、中には小さなブロックが落ちていた。

 ……攻撃力とか攻撃方法で採取できる素材が変わったりする? もしかして?


 攻撃範囲に合わせてブロック化するのかな?

 敵との戦闘で壊れるのはちょっとやりにくいかも?

 村の中とかには敵が現れたりしない? 色々と調べなきゃ。


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