44話
あれから1年が経った。
この1年の間でもそれ以前にも、エナトの知り合いから友人まで新しく家族が出来たと言う話は度々聴いていた。
そう、エリックも実は噂で聴いていた例の調香師さんと上手くいっているらしく、今は結婚の準備でラブラブしているそうだ。ずっとニマニマしてて気持ち悪いとは周りの談である。
エナトは今も旅をしている。あれから春に獣人族の里に1ヶ月程滞在して、そのまま外陸を回り亜族の里に転々とお邪魔しながら南へ来た。<転移扉>があるのでちょこちょこあっちこっちへ行っているのだが、長く滞在するのは久しぶり。現在はサタールの街にいる。相変わらずの陽気さだ。
ここに寄ったのは目的がある。1つ目は船に乗るため。エナトは船旅をご所望なのだ。ただ冬の間は出港しないためその間は足止めされる。
2つ目はここに支店を設ける事。別に家を借りるだけでも良かったが、前々から領主様からお誘いされていたこともあり造る事に。目的としては個人的な<転移扉>を置きたかっただけだ。
ここまでくると商会にしたらと言われているが、本人が乗る気でない。飽くまでも旅をする職人を貫くつもりのようだ。
サタールに造った店は、エナト本人は隠れ店の様にひっそりした店にしたかったらしいが、怪しい店だと思われるかもしれないからと、堂々と建てる事に。
高さは4階建てだが、下と上に分かれている様に見える。それは2階の建物の上がそれ以上に広いテラスになっており、その上に別の店があるからだ。行き来は階段と昇降機と滑り台がある。
下は開放的な飲食も出来るお昼寝店で、上は販売店だ。その2階は従業員用で下との行き来が出来るように繋がっている。
テラスは休憩や食事が出来るようになっている。料理はテラス側から買えるように屋台風だ。持ち帰りも出来る。
せめて植物で目隠しをと飾った結果、見栄えして心地良さも出てしまった。
エナトたち自身のスペースはどこかと言うと、下にある。敷地は店内だが、出入口もスペースも完全に別々にした造りにしている。
店と家を造って人を雇入れ、一緒に働きながら引継ぎをすれば後はお任せだ。
4月にエナトたちは船に乗って海へと出港した。
「おい兄さんっ。あまり乗り出すなよ?落ちちまうからなっ。」
「あ、はいっ。」
波を搔き分け進む船。潮風を受けながら別の地へ向かう船旅にワクワクする。
ゆっくりと進む景色は遠くなると移り変わりが分かりにくくなる。始めは新鮮さによく眺めていたが、慣れてくると息抜きで出る以外は船内にいるようになった。
船内は閉じられた建物と同じで、一緒に乗船している人達とは直ぐに知り合いの仲になった。
船員以外は殆ど商人で、子供が居ても身内だったりする。
船旅は大体半月から1ヶ月以内。暇なので楽しみは食事とゲーム。偶に吟遊詩人が乗っていれば音楽も聴けるとのことだ。
食事も出港した始めの頃は生鮮食品が出たが、今は保存食品の方が多い。多少プランターで育ててもいるらしいが量は無い。その代わり果物が多めに積んであり、魚は釣った新鮮なものが食べられる。
航海中は常に見張りと戦闘員も配備されている。今のところはそこまで危険を感じてはいないが、襲われない訳でもないため警戒してくれている。
あと数話で完結するかと思われます。
最後までよろしくお願いします。(__)
続きを書くかはまだ未定。。




