43話
冬の間はエリックたちを招いたり、お祭りに行ったりもした。
エルフの里は違ったが、亜族達は春の訪れが1年の始まりとして数えているそうで、祝いの催しはそれからもっと暖かくなってから行うのだそう。その時は紫色や白いフジの花が天山を彩ると言う。
半月程祝っているそうなので、その時には獣人族の里にも行こうとテッテたちから誘われている。
そしてエナトの所には新しい者達が増えていた。風と地の眷属だ。
風の眷属はまだ幼い子供。見た目は8歳の猫耳の男の子だ。白に黒のメッシュの短髪で、後ろにチョロンと三つ編みをしている。スカイブルーの瞳は爽やかな空の色だ。性格はちょっと高慢な俺様だ。可愛くて甘やかしてしまったそうで、鼻っ柱を折ってくれていいよと風の聖獣に言われている。甘いものに目がない。
もう一人の地の眷属は、見た目は30代の男性。ダークブラウンの髪が腰まである。オリーブグリーンの瞳は渋くて知性を感じる。性格も落ち着いた物腰で物知り。地の聖獣とは面識が無いのだが、エルフの長老に呼ばれて行ったら居たのだ。籠り気質で静かな環境を好むのだが、外への知的好奇心が抑えられなかったそうだ。読書や実験とお昼寝が好き。
名前は風の眷属がリルコットで、地の眷属がメジアスと言う。
「もーらいっ。」
「あっ。リルコットっ、それはメジアスのだよっ。」
「だって食べてないも~んっ。だからオレが食べてやるのだっ。」
と胸を張るリルコット。
「それでもちゃんといいよって言ってもらってないでしょ?」
エナトが窘める。
「答えは分かってるんだからいいんだよ~。」
そう言ってパクリと口へ放り込んだ。
「ああ・・。ー、そう言う横着な子には次のお菓子は没収ですっ。」
「ええっ!? 何でさっ。食べてあげるんだから良い事だろっ?オレ優しいっ!」
「優しいとは違いますっ。自分が欲しかったから勝手に取ったんでしょう?ならちゃんと毎回聞いてから貰う事っ。でないとそれは盗みと同じ事だよ。」
エナトは真面目に言い聞かす。
「そ、そうなのか?・・ ーーー」
でも・・、と少し拗ねた感じのリルコット。
「勝手に食べてしまったから、メジアスに言う事があるよね?」
「うぅ・・・・・・」
「良い子のリルコットならちゃんと言えるはずだよ?」
さぁ、と促す。
「・・・・・・、ご・・ごめん・・。」
小さい声でもじもじしながら言う。
メジアスはしゃがんで言う。
「謝罪を受け入れる。 私も甘いものは嫌いではないから、食べたい気持ちは分かる。」
「・・そうなのか?」
てっきり好きではないから残しているのだと思ったリルコット。
「じゃあ何で食べないのだ?」
「後で食べようと思っていたからだ。ゆっくり落ち着いて食べたかった。」
「ーーー そっか。・・・ごめんな。」
勘違いして気まずいながらも素直に謝る。メジアスは笑みを浮かべて頭を撫でた。
「過ちは誰にでもある。ちゃんと謝れる事は良い事だ。」
「偉いよリルコット。」
「失敗は学びを得る。1つ1つ知る事だ。」
という事があった別の日。
「これはオレのだっ。オレに貰って欲しいと言っているっ。」
「言ってません。」
買い物途中で目についたお菓子を指差して言うリルコット。
「言っているのだっ。 ほらっ。オレを甘い良い香りで誘惑しているのが分かるだろうっ?」
「甘くて良い香りだけど、リルコットだけじゃないからね?誰でも買えるものだよ。」
「!?・・・そんなぁ・・。 なんて罪作りな菓子なのだっ。オレの心を弄ぶなんてっ。」
「どこでそんな言葉を学んだの?」
まだ教育の道のりは長そうだ。
眷属を無理矢理コンプリートした感じになりました。(^-^;
もうちょこっと書きたかったけどなぁ~。
次回は一気に飛びます。




