42話
今日は鳥族の島の中でも一番大きい島に来ていた。
ドワーフの国や他の里から買い付けた物が売られている。通貨は同じリルだ。
ここの特産品は勿論ここでしか口に出来ない物も含まれるが、織物や紙であろう。
織物は独特の模様で織り込まれていて色合いも良い。糸から生産して、織ったものは天山や別の里で染めたり絵付けされたりしているらしい。素材は綿のしっかりした生地以外にも、これまでに無い位フワッとした透け感のある布地は初めて見た。天衣と言う。原材料はマユ草と言う植物の繊維を紡いだ物だそうだ。
エルフ族の里の滑らかな生地も話題になっていたし、ドワーフ族の国の細やかなレース編みも女性受けしていたが、これはまた流行りそうな予感がした。
紙は厚手のしっかりした和紙と言う物で、障子やランタンにも使用されている。草や花びらを入れた透かし紙と呼ばれている物もある。中には金粉入りもあり、観賞用にも良い美しさがあった。それらは折って飾り物にしたり、葉書や封筒などにもなっている。
他にも厚さは普通にあるのに半透明の紙もあった。水に強く、絵や文字の上に乗せると下のものが写って見える事から写し紙と呼ばれている。ロウの絵具なら書けるが水分の多いインクは難しい。紙と似た使い方をされていたが、他に移らないように仕切りにしていたり、料理をする時にも利用しているようだ。
他にも初見の物が色々あるので楽しい。
「弾力があって嚙み応えのあるドーナツパンだなっ。ウマいっ。」
「茹でてから焼くそうですよ? 家でも作ってみましょうか。」
「何で輪っかにするのかな?」
エナトはベーグルと呼ばれるパンを顔の前に持って来て穴から覗く。
「ドーナツもそうですが、火の通りを良くする為だと思います。中がぎゅっと詰まってますから、表面積を多くする為の形です。」
「なるほど~。」
「輪は永遠の象徴でもありますからね。縁起も良いです。」
「売り方としても重ねられて幅を取らないので良いですね。」
「あぁ~。 丸くて可愛い形だなぁとしか思ってなかったなぁ。」
「可愛いさにも深い意味があるのですね。」
それはちょっと違うような気もするがスイカも納得?
エナトたちはそのまま買い物を楽しんだ。
エナトたちが貰った島はマルナ島と名付けられた。エナト本人は賛成派ではなかったが、多数決の前では無力だった。エナト島よりはマシだと思うほかない。
島の様子は、ほぼ真ん中に位置する巨大な岩山に、寄り添う様に建物がある敷地があり、その裏手に果樹園がある。
1㎝の紫色の粒状の実が生るチコの実や、白モモ、グミの木がある他、茶木や、モモ色・白・青のロズの木が花畑寄りにある。
点々と岩がある辺りを挟んで花畑が拡がっているそこには、薄紫のラベンやラックの花、赤モモ色のひらひらした花弁のハマナ、色とりどりのリップの花が植えられている。それとこの島に自生していた3枚の白い花びらを持つノエンの花はそこかしこに咲いている。
その反対側には、岩山から排水の為に造った小川を境に果樹園と畑は分かれている。
畑はぐるっと半周して囲んでおり、薬草以外にもラースに似たコメ、大麦、甘ニンニンやキャベと言う葉野菜も植えている。
ここならではのウキメロは中身が橙色のメロの実で、ウキシーカは中身が黄色いシーカの実だ。
他にもスベリーと言う甘酸っぱい赤い果実の苗を植えた。
果樹園には道具を置く為の小屋が、畑には休憩する為のテーブルとベンチが、花畑にはポプリを作る部屋と、お茶が出来る建物がある。
花畑と畑の先には草原が拡がっていて、涼しい風が吹き抜けていく。
島で働く人達はよく作物の世話をし、小川で洗濯をしたり、足湯に浸かって疲れを癒したり、お茶をして寛いだり、作った物を売り買いした。
ここで作った物は他の支店にも置かれる事になる。
また特産品を知り合いに贈ったのだが、社交界で注目を浴びたそうだ。見越していたエナトは100反送っておいたのだが、追加注文をと言われてしまった。反響が予想以上のようだ。
王都の貴族の窓口はクルスくらいしか頼めないので、また近いうちにお邪魔する事になりそうだ。
冬になってもここは秋の寒さ程度にしかならないので、とても過ごしやすい。亜族達と交流しながら毎日を送る。
ちょっと北海道を思いながら作物を考えてみました。
コメは畑で作れる仕様です。(^-^; 実際にあるらしいですね。
シーカは一応 西瓜。
勝手に作った物もあるので適当ですっ。>_<
今年もあと1ヶ月ちょっと。
この話は終われるのか・・?




