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第二話

大変お待たせいたしました。やっと受験様が終了いたしましたので、此れからはちゃんと更新していけることと思います。

今回のお話ですか、なんと言いますか、紫さんが若干病んでいらっしゃいますっ!

ご注意を!

「おかえりなさーい」

 ひらひらと手を振っている紫に、二人は顔を見合わせて安心したように笑ってから駆け寄った。別れた時より幾分体調がすぐれている様で、顔色が良くなっている。わいのわいのと騒ぐ三人にカイトは離れた所で苦笑していた。


(……ああ、アッパー痛かったなぁ)

―若干涙目になったのは自分の心にだけとめておこう。



「どんな所に行ってきたの?」

 座布団の上に座り、あぐらをかく紫に二人は苦笑して緑茶の注がれた湯飲みを口につけた。

「散策だよ。この辺の森をブラブラしてきたんだ。明楽んところは旅院がバテちまって店によってるらしい」

「マコトん所は空を見ながら昼寝する、って意気込んでた」

 言った翠につけたしをする岬。そうなんだ、と小さく呟いた紫に、岬が笑っていった。


「明日は、三人で行こうな!」

「……うん」

「おー」

 へへ、と小さく笑った紫は、本当に嬉しそうだったとか。


(わぁい、お出かけ!)

((なんか可愛い……。いつもと違って!))



   ―――――――――


「よぉし、野郎共!! 祭だァァァアア!!」

 珍しく騒ぐ教師を横目に、しらけた視線を向ける大多数。ノったのは珍しく一人だけ。

「あれ、紫なんかテンション低いな」

「フフフ、紫さんはいつもクールだよ」

「「それはないッス」」

 熱でもあるんじゃ、と心配した岬へ鳩尾に一発。蛙がつぶれたような声を聞いて不敵に笑い、紫はキャンプファイアーだ何だとはしゃぐ二人の元へ歩いていった。

「ファ……イアーッ!!」

「っぎゃああああ!!」

「ちょ、それキック!! 飛び蹴りという名のキックゥー!!」

「暑苦しさと炎をかけてみました」

「「わけわかんねーよ!!」」



「……。平和だね」

「そうだな」

 ボソリと呟いた岬に、翠が小さく答えた。

「……っていうか、暑苦しいんじゃなくて五月蝿いよね。しかも結局いつもと一緒だし」

「……毒舌ぅ」

 疲れた、といった様子の旅院と修平が言った。



(こえ……)

(紫が? それとも僕がかな?)


(すっスイマセーン……)



   ―――――――――



「……野郎共、俺はとんでもない罪を犯してしまった」

 なんだと、と目を見開いたのは、全員だった。

「……ついに幼女に手を出したか!!」

「うん、いつかはやると思っていたよ」

「失礼っ!! しかも違うし!」

 口々に言ってのける生徒にカイトが叫ぶ。



「競馬で勝った……! しかも結構な額が手に入ったよ!」

「何やってんだよ、教師ィィイィイイイィィ!? 仕事しろぉぉおお!!」

「わぉ、僕のおかげだね!」

 叫んだ岬にニコリと笑った紫。え、なんでという翠にニコリと笑って紫は答えた。

「だって、誘って決めたのは僕だから!」

「オイィィィィイイィ!!?」

「ふふふ、崇めても良いんだよ?」

「「いや、結構です」」

「―――ん?」

遠慮なく握られた左手に、両手をあげて降参ポーズ。



「「す、すいまっせーん」」


((結局敵わない……))






「てかさ、教師がそんなんやって良いの?」

「だめじゃね? 知らんけど」

 そんなんってなんだ、と喚くカイトを横目に旅院と明楽が対話。

「ああ、ごめん、お前に聞いた僕がバカだった」

「お前!? ひっでぇ!!」

「いつもにまして毒舌……いや、辛辣だ」

「どっちでも良いです!!」

 首を突っ込んだ岬も加わり、やがて騒ぎは大きくなっていくのであった。





    ――――――




 かちゃりと静かに音を立てて紫は、その眼帯を外した。

 周りは真っ暗で、それでいて何も聞えない。全員が全員寝静まっているようだった。


「仕方ない、か」

 ぼそりと呟いた紫の声は風にさえ掻き消されてしまうほど微かなものだった。それは、全員が寝ているが為の行為であろう。ちらりと時計を横目にすれば、午前三時。夏であろうと冬であろうと真っ暗な時間だ。

 音も立てずに紫はそこを出た。入り口から出て、静かにふく風はラベンダー色の髪をさらい躍らせる。


「ふふ」

 なぜだかおかしくなって、小さく笑い左手を伸ばした。まくれた袖から覗くのは、白い包帯。下腕―――つまりは肘から手の甲にかけて巻かれた包帯。紫はなんの戸惑いも無くその包帯を取り、傷を風にさらした。




―――あらわになったのは深い、刀傷だった。

 ナイフだったのかもしれないし、もっと大きなもの……剣と呼ばれるものだったのかもしれない。けれど、それはただ当たって切れてしまったのではなく悪意などがあってきられたものだということは直にわかった。


「ふふ……ねえ、   さん」

 愛しげに笑って、風にさらされる傷口を撫でる。



「   さん」

 もう一度、今度は呟くというよりももっと静かに、囁くように―――。愛でる、ように。


「ふふ……僕が、殺してあげるから、さ」





(ねぇ、いいでしょう?)

(だってあなたは彼を殺して、今、まさに罪を犯そうとしているから)




(ねえ?)





ぐちゃぐちゃに、めちゃくちゃにしてあげるっ!







(ん……)

(なんだ起きたのか、岬)

(……すい? あそこにいるのって、ゆか、り?)



(だろう、な)



((遠いけど、あれってかたな、きず……?))

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