第三話
ごめんなさい! 短いです。土下座しますっ!
早く更新するといいつつ修正だけ……、ごめんなさい!
「……」
紫はため息をついた。風にあたっていたつもりだったのだが、どうやら放置にしてしまいすぎたからか二人が起きてしまったらしいのだ。ベッドから降りる衣擦れのおと、殺された呼吸音、そしてこちらにむけられた訝しげな視線。ああ、なんて懐かしいのだろうか、この感覚は。小さく笑った。
昔から人間の視線、おと、気配、感情などを探ったりするのは得意だったからなのか、敏感になのだ。例え殺そうと試みても、彼女相手にそれらが誤魔化しがきく人間など、いないだろう。
この能力を―――いや、才能を呪ったことなど一度もなかった。彼女はうめくように溜息をつく。これによって何度も救われたりしたからだ。これから一体どんな人間に会おうとも、決してこの能力だけは呪うことはない。珍しく、彼女は断言した。
「……取り敢えず」
紫はため息をついてから顔をあげ、口許を歪めた。
「……ずらかろー」
くつりと喉をならし、紫は歩き出した。
「い、いっちゃった……」
岬は許可を仰ぐように翠を見た。求められた彼は肩を竦めてみせる。
「この時間だ。紫にも考えがあるのだろうが危険すぎる。俺はリーダーに賛成だな」
その答えに安心したように息を吐き出すと、岬は上着を持ちなるべく音を立てずに扉を開けた。
* * *
「ふーんふーんふーん」
楽しげにうたを口ずさむ紫。真っ暗で視界はあまり役に立たないものの、探検をしているようで楽しかった。ぐるぐると先程取った包帯を刀傷に被せ、固定する。なれた一連の動作だが、やはり片手だけだと面倒だった。昔は彼が大変そうにやってたことを思い出しくは、と笑った。
「ううーん、平和、平和、平和ー! へいわー、わいへー!」
けらけらと笑っていつものテンション。そして足を止めた。
「やっほー!」
ひらひらと、紫は後ろで隠れながら就いてきた二人に手を振った。
「……どうもです」
「バレるの、結構早かったな」
(天才ですから! なんつってー!)
(テンションバカ高いな、おい……)
(岬は低いぜ! ねー、翠)
「……で、何処に向かってるんだ?」
首をかしげた翠に、紫は秘密、とだけ返す。迎えに来たというのに、二人は結局戻らずついていっていた。歩きにくいことを承知でついてきた二人だが、やはり大自然の中。歩きにくい以前の問題だった。
「こ、こける……っ」
「情けないなあ、みさきー」
くすくすと笑って、紫は岬を見た。真下を見ている為か、正面がお留守だ。
「てい、隙アリ!」
「いだいっ!」
頭にチョップを入れられた。二人の様子を相変わらずの無表情で見つめていた翠は、足を止めた。
「……すごいな」
「うわー……」
思わず二人は感嘆した。
入り込んだ森のなか、ひときわ目立つ、大きな木が合った。高くそして太く。何十年、何百年。そんな月日をずっと生きてきたのかもしれなかった。
「ふふ、大自然だねー」
けらけらと笑う紫は足を速め、木に触れた。
どっしりとした木の幹。見上げれば、何かが蠢いている。
「ちょ、ななななな、なに?」
てんぱった岬を他所に、紫は手を差し伸べた。
「おいで、おいでー」
くすくすわらい謳うように誘う紫に、それは導かれた。
青色の小さな鳥だった。幸せの鳥、と呟く岬に、紫はちいさく笑った。
「こんにちは……いや、お久しぶりかな?」
小さな鳥は、小首を傾げ、カタゴトで返した。
「ミヤベ、ミヤベ!」
「んー……なんというか、元気だった?」
ゲンキ、と返された。
青い鳥と少女の会話。奇妙な図だが、いやに絵になる。二人は静かに息を飲み、何もアクションを起こさず見守っていた。
「うーん……ご用件は何?」
囁くように尋ねた。目をかすかに細め、口元を歪めた。
「シンサ、シンサ!」
なのです、という、新しい、そして少女の声がした。




