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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第二十九章 聖女、旅立つ

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365.矜持の問題です!

 眩しくて目が覚めた。

 天井の近くにある細長い窓から光が差し込んでいた。

 しかもひっきりなしにあっちこっち飛び回っている。

 船が揺れているから安定しないらしい。

 起きるか。

 隣のベッドを見るとレスリーがぐっすり寝ていた。

 疲れていたのか図太いのか。

 まあいいや。

 トレーナー姿のままドアを開けて階段を上るとリビングのソファーでアルバートがノートパソコンを弄っていた。

「おはよう」

「おお。

 眠れたみたいだな」

「おかげさまで」

 あんまり揺れた記憶がないからずっとゆっくり走ってくれたのだろう。

 クルーザーはまだ走り続けている。

「今、どの辺り?」

「あと1時間くらいで着く予定だが……。

 そういやレスリーに言っておいたんだが」

「うん。

 パリとかなしで。

 地図見ていたらモン・サン・ミッシェルってお城があることが判って」

 アルバートは頷いた。

「ああ、確かに。

 行きやすい事は確かだ。

 もっとも船では行けないけどな」

「そうなの?」

「このクルーザーを着ける港が近くにない」

 アルバートが説明してくれたところによれば、そもそもモン・サン・ミッシェルはお城じゃなくて修道院なのだそうだ。

 今は観光地化しているとか。

 ちなみに干潮の時には海を歩いて渡れたそうだが道路が整備されるまでは半孤島だったらしい。

 修道院にも港というか桟橋はあるけど、とてもでかい船が横付け出来るような規模ではない。

「だからこの船で行こうとすると近くの港で陸に上がって、そこから車でということになる」

「なるほど」

「実際にはお嬢のフランス入国の手続きがあるからな。

 まず税関がある港に入港して手続きしてからだ。

 そこに車を回そう」

 さすがは有能な護衛(ガード)兼お目付役。

 あっという間に方針が決まってしまった。

 感心していると言われた。

「既定路線だよ。

 どこに向かおうが同じ経路になる。

 もう車の手配も済んでいる」

 なるほど。

 入港まで時間があるというのでレイナは寝室に戻った。

 レスリーはまだ寝ている。

 そういえば朝食はどうなるのだろうか。

 お腹が空いてきたので昨日レスリーが持ち込んできた袋を探るとお菓子の類いが出てきた。

 これでいいか。

 ベッドの上に座り込んでペットボトルのミネラルウォーターを飲み、芋だかトウモロコシだかのお菓子をボリボリ食べているとレスリーが起きた。

「おはようございます……え?」

「おはよう。

 よく眠ってた」

 レスリーは飛び上がるとベッドから転がり落ちて土下座した。

「申し訳ありません!

 侍女ごときが主人(レイナ様)より寝過ごすなんて!」

「疲れていたんじゃない?

 別に問題なかったけど」

 実際、レスリーが起きていても何も変わらなかっただろうし。

「矜持の問題です!」

 さいですか。

 別にレイナが頼んだわけでもないんだけど、レスリーがそうしたいのなら別にいい。

「あと1時間くらいで着くらしいよ」

「失礼します!」

 レスリーが駆け去った。

 着替えてないけどいいのか。

 まあ、二人とも寝間着じゃなくてトレーナーだしな。

 平然とテレビを観続けるレイナだった。

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