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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第二十九章 聖女、旅立つ

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364.揺れ出したら寝てしまえば

「シャングリラ症候群ですね」

「何それ」

「知らない所を理想郷だと思い込む症状です。

 現実のパリはファッションモデルみたいな人がぞろぞろ歩いていたりはしませんよ」

 それは何となく判るけど。

 英国でもアニメに出てくるのと違ってそこら辺を歩いているのは美形の白人だけじゃなかった。

 というよりは白人自体がむしろ少数派だったような。

 日本は顔かたちはともかく皮膚の色が極端に白や黒に振り切っていなくて、だから均一に見えたけど、欧州(こっち)は露骨に真っ白とか真っ黒とかいるのよね。

 もちろんその中間もいるけど。

「でも私みたいなのは珍しくないのでは」

「何と言いましょうか、レイナ様の場合は人種や種族というよりは存在とか階梯が違います。

 人間の間に一人だけ天使や女神がいるような」

 そんなにか。

 私もいつの間にか人外になっていたと。

「……判った。

 じゃあパリはなしで」

「よろしくお願いします」

 言葉は殊勝だけどレスリーも寝っ転がってお菓子を食べながらだった。

 いつの間にかラフな格好になっている。

 コートを脱いだだけか。

 不意にベッドが振動した。

 いや部屋全体が揺れている?

「出発ですね」

 ちょっと身体が引っ張られるような感覚があって、それから揺れ始めた。

 そんなに大きくはない。

「船酔いってする?」

 思わず聞いてしまった。

 レイナ自身はほとんど船なんかには乗ったことがない。

 聞くところではもの凄く苦しくて胃液まで吐くとか。

「私はしませんが。

 でも英仏海峡を渡るだけなのでそんなに波は荒くないですし、長くても数時間ですよ」

 安心出来ない。

 もちろんレイナは聖力でどうとでもなるんだけど、吐き気は抑えられるにしても気持ちが悪くなったり視界がぐるぐる回り出したら聖力で治せるかどうか。

「揺れ出したら寝てしまえば」

 それはそうか。

 スマホを見るともう夜中だった。

 ならば寝ても問題はない。

 車の中で寝た分はなかったことにする。

 それでも心配なのでスマホで船酔いの対処法を調べていると船の揺れが安定してきた。

 大きくうねるように上下する。

「ゆっくり走ってくれているみたいですね」

「そうなの」

「巡航速度って奴です。

 こういう(クルーザー)って本気を出したらメチャクチャ速いらしいですよ。

 その代わり死ぬほど揺れるって聞いています」

 困る。

 だから速度を上げないで走ってくれているのか。

 ありがたや。

 まあ、地図で見る限り英仏海峡ってすごく狭そうだし。

 前にレスリーが泳いででも行けるとか言っていたな。

 しばらく横になっていたけど別に気分が悪くなったりしなかった。

 大丈夫のようだ。

 レスリーはと見ると何と既に寝ていた。

 こいつは大物だ。

 まだ眠くならないので観光の目星を付けておくことにする。

 ベッドの上でうつ伏せになってスマホで検索してみたら海の上に建っている(ようにみえる)お城が出てきた。

 モン・サン・ミッシェルというらしい。

 地図上では割と近いような。

 人気の観光地ということだけど、少なくともパリとかヴェルサイユとかよりはマシな気がする。

 色々と説明があったが面倒になった。

 とりあえずここでいいや。

 海の上なんだからクルーザーで行きやすいだろうし。

 レイナはスマホを閉じるとキャリーケースから下着と寝間着にしているトレーナーを引っ張り出して着替えた。

 灯りを消す。

 おやすみなさい。

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