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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第二十八章 聖女、暇なので観光に走る

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356.ところで船って?

「ざっとでいいから教えて」

「ええとですね。

 アルバートの意見では公共交通機関をなるべく使わない方がいいということで。

 今回は隣国(フランス)なので、普通ならユーロスターを使うんですが、敢えて船で行きます」

 ちょっと待って。

「ユーロスターって?」

「鉄道網のブランドですよ。

 日本の新幹線みたいなものです。

 イギリスとフランスに加えてドイツとベルギーとオランダも繋いでいます」

「凄いじゃない」

「日本の新幹線の方がイケますよ。

 大量の人が利用するし、乗ったら丸見えの上に逃げようがないのでパスです。

 とにかく人目に付きたくないということで」

 機会があったら乗ってみよう。

 ていうかよく考えたらレイナは新幹線とやらにも乗ったことはなかった。

 楽しみ。

「ところで船って?」

組織(うち)の大型ヨットで行きます。

 実は車で行く方法もあるんですが」

 レスリーが謎掛けてくる。

「えーと、トンネルで?」

「半分合ってます。

 貨物輸送というか車をそのまま貨車に積み込んでドーバー海峡を渡る方法があるみたいなんですよ。

 カーフェリーの鉄道版ですね。

 私も初めて知りましたが」

「え、何?

 自動車が電車に乗るの?」

 ちょっと想像出来ない。

「それはですね」

 レスリーはバッグからタブレットを出して画像を表示した。

「こんなでかい貨車がありまして、車ごと乗って海底トンネルを抜けるそうです。

 乗ってる時間は30分くらいだそうですが」

 面白そう。

「展望デッキとかないの?」

「ここに書いてありますが、貨車の中は真っ暗でトイレにしか行けないそうですよ。

 基本は車から出るなと」

 残念。

「というわけで今回の最初の観光は船旅です。

 夜の英仏海峡もオツなものだそうで」

「それもいいな」

 色々考えてくれているらしい。

「フランスの港に着いたらもう夜中なので、そのまま近くの組織の施設で一泊します。

 まだどこになるのかは決まっていないそうですが」

「そんなのでいいの?」

「レイナ様次第ですね」

 好き勝手していいらしい。

 凄いなあ。

 お金持ちというよりはもう、ラノベの悪役貴族令嬢みたいなものではないか。

「一泊して朝食の後、観光に出発です」

「そこから先は?」

「レイナ様が決めて良いそうです」

 さよか。

 何か大事(おおごと)になってしまったみたいで戸惑うレイナだった。

 まあとにかく好きな場所に行けるのならどうでもいいか。

「どこに行きたいか決めて下さい。

 それによって予定が決まります」

 レスリーはそこまで言うとタブレットを仕舞って食事に戻った。

 それが言いたかったのか。

 なるほど。

「メッセージでいい?」

「出来ればお昼までに」

「判った」

 となれば。

 レイナはお皿を片付けて部屋に戻った。

 プールとサウナは午後でいいだろう。

 目的地を決めなければ。

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