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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第二十八章 聖女、暇なので観光に走る

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351.外国は駄目?

 シンってば組織を支配するというか配下にする気満々だ。

 よくそんな面倒くさいことをする気になれると思う。

 いや、レイナにも判ってはいる。

 結局の所、それが一番面倒を避ける方法なのよね。

 世間と自分の間に緩衝材を置くと。

 面倒くさいことは全部グロリア様とかに丸投げする気だ。

「ならそうする」

『うん。

 でも無理はしなくてもいいからね。

 僕の方も情報が入り次第知らせる。

 後、僕から直接アルバートさんに連絡することもあると思う』

 そんなことは気にしなくてもいいのに。

 レイナはシンをおそらく他の誰よりも信頼しているけど、シンからみたらレイナも駒のひとつに過ぎないことも判っている。

 レイナは成人年齢に達したと言ってもまだ子供だし、未だにシンに頼りっきりだ。

 こんな危なっかしい女をパートナーにするほどシンは甘くない。

 レイナとしてもシンの指示で動く方が楽だし。

「それじゃ」

『何かあったら連絡して。

 いつでもいいから』

 ありがたや。

 テーブルに戻るとレスリーとアルバートがスマホを弄りながら議論していた。

「あ、レイナ様。

 明日からのスケジュールを検討していたところです」

「基本は観光でいいな?

 何かやりたいことがあるなら優先するが」

 そう言われてもね。

 この季節に海水浴とかスキーとかは無理だろうし。

 そもそもそんな目立つことはやらせて貰えるとは思えない。

 ちょっと思いついて言ってみた。

「外国は駄目?」

 前にヴェルサイユに行きたいと言ったら許可された気がするけど。

「……ふむ」

 アルバートが黙る。

「ちょっと待ってくれ」

 席を外してトイレに向かいながらスマホを取り出すアルバート。

 「上司」に相談か。

「なるほど。

 さすがはレイナ様です」

 レスリーが胸の前で両手の平を組んで言った。

「突飛にして大胆。

 常に意表をつく」

 それって褒め言葉なの?

「襲ってくるんだったら逃げた方がいいと思って」

 いちいち潰すのは面倒だ。

 さっきシンからなるべく()らないようにと言われたし。

 手加減できるかどうか判らないものね。

「はい。

 レイナ様が目の前にいたら突進してきそうですものね。

 敵も味方も」

 見分けがつかないのが面倒くさい。

「あと、英国を離れたらアウェーですから敵は組織外だけになりますよ。

 対外的には協力するので」

 なるほど。

 いい案に思えてきた。

 アルバートがスマホを仕舞いながら戻って来た。

「許可が出た。

 好きにしていいそうだ。

 そのための費用や手段は組織が提供する」

 やった。

 無料(ロハ)で観光し放題だ!

「どこでもいいの?」

「常識内でな。

 さすがに南米とか北極とか言い出したら止められるだろうが」

「レイナ様を止められるとでも?」

 不敵すぎるレスリーだった。

「いや私も別に無理にとは」

「だな。

 欧州に留めてくれるとありがたい。

 それにみんなもお嬢が目の前にいない方が落ち着くと思う」

「なら決まりね」

 よし。

 どこに行こうかなとウキウキのレイナだった。

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