↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第九十九議席の古地図師と、零番目の乗客  作者: 沼口ちるの


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/4

とある日の特異点

毎晩、午前零時きっかりにまぶたを閉じると、俺は「俺たち」に会う。

そこは天井のない白亜の円形劇場のような空間だ。中央には巨大な黒曜石の円卓が据えられ、その周囲をぐるりと九十九脚の椅子が取り囲んでいる。

そこに座っている九十九人の男たちは、全員が同じ顔、同じ背格好、同じ声をしており、そして全員が『レオン・ヴァイス』という名前を持っていた。

「おい、七十四番。今夜もその薄汚れたインク指で議事録を取るのか? たまには俺たちに役立つ情報の一つでも持ってきたらどうだ」

葉巻の煙を吐き出しながら俺を鼻で笑ったのは、左目に黒い眼帯をつけた豪奢な毛皮コートの男――十三番のレオンだ。彼の世界では、俺たちは裏社会の密輸組織を牛耳る大ボスになっているらしい。

「無理を言うなよ、十三番。彼はそういう星の下に分岐したんだ」

銀縁の眼鏡を押し上げ、冷ややかな声でフォローとも侮蔑ともつかない言葉を投げたのは、白衣を着た一番のレオン。帝国アカデミーで最年少教授となった理論物理学者だ。

他にも、戦場で名を馳せた将軍の八番、世界的なピアニストになった四十二番、金鉱を掘り当てた大富豪の五十六番など、円卓には眩しいほどの「成功した俺」が並んでいた。

対する俺――七十四番のレオンは、街の片隅でカビ臭い羊皮紙を継ぎ接ぎして暮らす、しがない「古地図の修復師」に過ぎない。

俺たち九十九人は、今から十年前の四月十二日、中央駅の時計台の下で起きた「ある分岐」を境に枝分かれした並行世界の同一人物だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。