表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/34

第四章 4

「……そういうわけなんだ。斎藤、どう思う?」

 俺は学校で今の家庭状況を斎藤に話した。

「よく分かった。なかなか面白い……いや、興味深いな」

「この前は神社巡りに付き合ってくれてありがとうな」

「いやいや、俺の趣味も兼ねてるからな。気にするなよ、楽しかった」

「勉強になったよ」

 それは本当だ。斎藤が友だちで良かったと思う。

「俺は歴友が出来て嬉しいよ。みんなゲームの話とかばっかりだしな……とと、そういえばお前の家の話だったな」

 斎藤はポリポリとこめかみを掻いてうーんと考え込む。

「難しい時期だよな。お前は大学どこを狙ってるんだ?」

「そうだなあ、東京の、まあそれなりの……って考えていたけど、地元の国公立でも悪くないかなと思い始めてる」

「そうか。せっかく出来る新しい家族だもんな。離れるのはつらいな」

「かわいい妹も出来るしな、なんて」

「そうだ、お前、相手には高一の女の子が連れ子でいるんだよな⁉ しかも不動女子第一の! 畜生、羨ましすぎるぞ! ほとんど漫画の世界じゃねえか! 《親が再婚したら女子高生のかわいい妹が付いてきた件》っていうタイトルで漫画化されるぞ!」

 しねえよ。お前の妄想の中だけで連載しろよ。

「いや……ところがこの妹がなかなか憎たらしいんだよ、顔はかわいいんだけどな」

 そうぼやく。

「お前、ますます漫画じゃねえか」

「そうかあ? どこがだよ」

「《ツンデレ妹が家族になって家の中がもう大変》ってタイトルで漫画化だろ」

「ツンデレっていうか、ただの反抗期だよ」

「そういうのもかわいいに含まれるんだよ」

「そうかあ……かわいいんだアレ」

「アレだかオレだから分からないけど、受け入れるんだよ! 女子高生ってのはそういうものなんだよ!」

「そういうものねえ……」

 ふと鈴原さんのことが頭に浮かんだ。

 確かに鈴原さんも結構アレな感じだけどな……本人の前では絶対言えないけど。

「取り敢えず、お前はあんまり贅沢言わないで新しい家族に尽くせ。大体リアル妹までいるのに何なんだ、ニュー妹をかわいがってやれよ」

「リアル妹はまだ中一だぞ。高一のニュー妹と比べられるか」

「妹はみんな等しく妹なんだよ! お前はもう少し妹のいる環境の贅沢さをしっかり考えるんだな!」

「妹はそんなに重要な存在だったのか……」

「当たり前だろ! これが兄貴にボコられながらここまで育った俺のアドバイスだ!」

 それはお前の家の問題だろと思いながら、うーん、妹、妹……と考えて授業を受けた。


「静也さん静也さん、妹というものはそんなに大事なんですか?」

 昼休み、中庭の隅っこでソーセージパンを食べていた俺の隣にふたばが飛んで来て尋ねてくる。

「まあ……好きなやつは好きなんだろうな。ふたばにはきょうだいはいなかったのか?」

「弟がいましたけど、私が五歳の時に流行り病で死んでしまいました」

「そうか……それは悪いことを訊いたな」

「まあ、子どもはすぐに死んでしまうものでしたから、昔は」

「今まで訊いてこなかったけど……お前はどうやって死んだんだ?」

 ふたばは少し俯いて、口を少しもごもごとさせる。

「……魔塊との戦闘中に呪いを受けて、九日後に死にました」

 死の呪い……そんなことが出来る魔塊もいるのか。

「でも常久様に頂いた守り刀に魂を乗り移らせて、おかげで千年間幽体として過ごしてこられました。こうして健康にしていられるのも常久様のおかげです、はい」

 死んでるから健康も何もないと思うけど……。

 それは言わないでおこう。

「今はお前も妹みたいなもんだ」

 俺がそう言うと、ふたばは喜ぶかと思ったら。

「妹ですか……常久様もそのように思っていたのでしょうか」

 残念そうな感じでそう言った。

 そうか、ふたばの常久さんへの気持ちはやっぱり……。

「お前は妹じゃない、相棒なんだよな。常久さんの右腕」

「は、はい! そして今は静也さんの相棒です!」

「頼んだぞ、相棒」

「はい!」

 常久さんも罪作りな男だな。きっとふたばの気持ちを知って傍に置いていたんだろう。

 今の俺は……常久さんと同じなんだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ