初めての約束
帰り道。
昨日と同じ場所。
人が少なくなると、
自然と距離が近くなる。
「……」
手は、
もう繋いだまま。
「……ねえ」
つばきが小さく言う。
「なに」
「こういうのさ」
少しだけ手を見ながら、
「いつまで隠すの」
「……」
少し考える。
「……別に、隠す必要なくね?」
「……は?」
つばきが止まる。
「いや」
振り返る。
「バレてもよくねって思ってる」
「……」
つばきがじっと見る。
「……あんたってさ」
「なに」
「そういうとこ、急にずるい」
「……」
よく分からんが、たぶん悪い意味じゃない。
「……」
少しだけ沈黙。
風が通る。
「……じゃあさ」
つばきが言う。
「なに」
「今度」
少しだけ言葉を選ぶ。
「どっか行く?」
「……」
一瞬、
理解が遅れる。
「……それって」
「デート」
先に言われた。
「……」
思わず笑う。
「……いいの」
「……なにが」
「誘う側じゃなくて」
「……」
つばきが少しだけ目を逸らす。
「……たまにはいいでしょ」
「……」
なんか、いい。
「……じゃあ」
少しだけ近づく。
「日曜」
「……うん」
「昼から」
「……うん」
「駅前集合で」
「……」
つばきが少しだけ笑う。
「ベタ」
「いいだろ別に」
「……いいけど」
「……」
少しだけ沈黙。
でも、その沈黙は軽い。
「……なにする」
つばきが聞く。
「……」
少し考える。
「とりあえず」
「……うん」
「適当に歩く」
「……は?」
つばきが呆れた顔。
「計画性なさすぎ」
「いいだろ、そういうのも」
「……」
少しだけ考えて、
「……まあ」
小さく頷く。
「……あんたっぽい」
「だろ」
「……」
少しだけ笑う。
「……」
手を繋いだまま、
また歩き出す。
「……」
さっきより、少しだけ自然になってる。
「……」
つばきが、
ふと呟く。
「……楽しみ」
「……」
聞き逃さない。
「もう一回言え」
「やだ」
即拒否。
「……」
でも、
顔は少し赤い。
「……」
こっちも、
ちょっとだけ嬉しい。
「……」
空を見る。
夕焼け。
「……」
なんでもない日が、
特別になる。
「……」
日曜。
その約束だけで、
今が少し変わる。
「……」
手は、
まだ繋いだまま。
離す理由は、
やっぱりなかった。
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