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恋の2度見  作者: 乃菜
23/31

合格点

帰り道。


昨日と同じ道のはずなのに、


少しだけ、違って見える。


「……」


隣を歩くつばきを、ちらっと見る。


目が合いそうになって、


すぐ逸らす。


「なに」


即バレた。


「いや、別に」


「見てたでしょ」


「見てない」


「嘘」


「……」


図星すぎて何も言えない。


「……ちゃんと見るんじゃなかったの?」


少しだけからかうように言う。


「見てるよ」


「どこが」


「……」


言葉に詰まる。


さっきまでの、“試験とは違う。


もっと、

普通の会話に近いのに、


妙に難しい。


「……見てるって」


「雑」


つばきが小さく笑う。


その笑い方は、


昨日よりも、


少しだけ自然だった。


「……」


なんか、悔しい。


「じゃあお前は」


言い返す。


「俺のこと見てんのかよ」


「……見てるけど」


即答。


「……は?」


予想外すぎて、間が抜ける。


「なにその反応」


「いや、普通もうちょい考えるだろ」


「別に」


肩をすくめる。


「見るって言ったし」


「……」


言葉が詰まる。


「……どう見えてんの」


少しだけ気になって聞く。


つばきは少し考えて、


「……前よりは」


ゆっくり言う。


「ちゃんとしてる」


「前は?」


「適当」


「ひど」


「事実」


即答。


「……」


言い返せない。


「でも」


つばきが続ける。


「今の方が、いいと思う」


「……」


一瞬、言葉が止まる。


「……合格って言っただろ」


少しだけ視線を逸らしながら言う。


「一応」


「一応ってなんだよ」


「満点じゃないから」


「厳しすぎだろ」


「当たり前」


少しだけ笑う。


「まだ途中なんだから」


「……」


その言葉が、


妙にしっくりくる。


「……そっちこそ」


言い返す。


「お前もだろ」


「なにが」


「まだ分かんねえよ」


正直に言う。


「お前のこと」


「……」


つばきが少しだけ止まる。


「……そ」


短く返す。


でも、


嫌そうじゃない。


「じゃあ」


少しだけこっちを見る。


「ちゃんと見て」


その言葉は、


昨日よりも、少しだけ柔らかかった。


「……ああ」


頷く。


「その代わり」


つばきが続ける。


「逃げんなよ」


「逃げねえよ」


即答する。


「ほんとに?」


「ほんとに」


「……」


つばきは少しだけ目を細めて、


「ならいい」


小さく言う。


「……」


また、並んで歩く。


沈黙。


でも、前みたいに気まずくはない。


「……あ」


つばきが小さく声を出す。


「なに」


「アイス食べたい」


「急だな」


「ダメ?」


少しだけこっちを見る。


「……いいけど」


「じゃあ決まり」


歩く方向を変える。


「おい勝手に」


「ついてきて」


振り返らずに言う。


「……はいはい」


苦笑しながら、後を追う。


「……」


なんでもない会話。


なんでもない寄り道。


でも、


昨日までとは、


確実に違う。


「……」


つばきの背中を見る。

少しだけ近い距離。


「……」


たぶん、


これが。


“合格点”ってやつなんだと思った。


────────────────────


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