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恋の2度見  作者: 乃菜
20/31

試行

帰り道のあとー


家に着いても、

靴を脱いでも、

制服を着替えても、


頭の中は、あいつのことでいっぱいだった。


「……はあ」


ベッドに倒れ込む。


天井を見上げる。


今日一日が、やけに長く感じる。


「……なんなの」


ぽつりと呟く。


あいつの顔が浮かぶ。


手紙を渡してきたときの顔。


帰り道で、


少しだけ言葉を選んでた顔。


「……」


あんなの、


知らない。


今までのあいつじゃない。


もっと適当で、


もっと軽くて、


——もっと、分かりやすいやつだった。


「……ずるいって」


小さく、息を吐く。


今さら、


あんな風に変わるなんて。


「……」


体を横に向ける。


枕に顔を埋める。


でも嫌じゃなかった。


むしろ、


少しだけ——


期待してる自分がいる。


「……はあ」


もう一度、ため息。


「ちゃんと見る、か」


あいつの言葉を思い出す。


正直、


すぐには信じられない。


今までがあるから。


でも——


「……」


今日のあいつは、


確かに違った。


“ちゃんと見てる”って、


言葉だけじゃなくて、


態度で分かった。


「……だったら」


小さく呟く。


「……こっちも、ちゃんと見ないと」


無意識に、そう思っていた。


今までは、


どこかで決めつけてた。


“あいつはこういうやつ”って。


でも、


それって、


自分がされて嫌だったことと、


同じじゃんって。


「……バカみたい」


苦笑する。


でも、


少しだけ、すっきりする。


「……」


ベッドから起き上がる。


机の上に視線を向ける。


そこには、


今日もらった便箋。


まだ、ちゃんと読み返してない。


「……」


少しだけ迷って、


手に取る。


紙の感触が、やけにリアルだった。


ゆっくり開く。


目で、なぞる。


——“ちゃんと見てなかったと思う”



——“決めつけてた”



——“だから、ちゃんと見たい”


「……」


静かに、読み終える。


「……ほんとに」


小さく呟く。


「変わったんだ」


紙を見つめたまま、


少しだけ笑う。


「……だったら」


便箋を丁寧に畳む。


「試してやる」


誰もいない部屋で、

小さく言う。


「どこまで変わったか」


少しだけ、


意地の悪い笑い。


でもその奥にあるのは、


前とは違う感情だった。


「……ちゃんと見るって言ったんだから」


ぽつりと続ける。


「逃げんなよ」


その言葉は、


あいつに向けてるようで、


どこか、


自分自身にも向けていた。


窓の外を見る。


もう、すっかり夜だった。


文化祭は終わった。


でも——


「……ここから、か」


小さく呟く。


本当の意味で、


二人の関係が動き出すのは。


きっと、


ここからだ。


────────────────────


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