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恋の2度見  作者: 乃菜
18/33

帰路

帰り道。


文化祭の喧騒が、少しずつ遠ざかっていく。



並んで歩く。


いつもと同じはずなのに、


どこか違う。


「……」


さっきのことが、頭から離れない。


言った。


手紙を渡した。


ちゃんと、見た上で。


でも、


「……」


それで終わりじゃない。


むしろ、


ここからが始まりみたいだった。


「なあ」


声をかける。


「なに」


つばきは前を見たまま答える。


「……さっきの」


言いかけて、止まる。


何て言えばいいかわからない。


「……なんでもない」


結局、引っ込める。


「は?」


つばきが少しだけ振り向く。


「言いかけたじゃん」


「いや、別に」


「なにそれ」


少しだけ不満そうな声。


でも、


それ以上は追及してこない。


「……」


沈黙。


でも、


前みたいな重さはない。


少しだけ、


落ち着かないだけの沈黙。


「……あのさ」


今度は、つばきが口を開く。


「なに」


「さっきのやつ」



便箋のことだと、すぐに分かる。


「……うん」


「ちゃんと考えて書いたんでしょ」


「ああ」


「……そっか」


それだけ言って、


また前を向く。


「……」


何か言いかけて、


やめたようにも見えた。


「……なんだよ」


思わず聞く。


「別に」


「絶対なんかあるだろ」


「ないって」


少しだけ笑う。


でも、その笑い方は、


完全にいつも通りじゃない。


「……」


夕焼けが、少しだけ濃くなる。


影が長く伸びる。


「……さ」


つばきが、小さく言う。


「なに」


「今のあんたの方が」


少しだけ間を置いて、


「前より、いいと思う」


「……え」


思わず、聞き返す。


つばきは少しだけ顔を逸らして、


「だから」


ぶっきらぼうに言う。


「ちゃんと見てよ」


その言葉は、


中庭で聞いたときより、


少しだけ重かった。


「……ああ」


今度は、迷わず頷く。


その約束は、


前よりずっと、


現実的なものに感じた。


「……」


また、並んで歩く。


完全に何かが変わったわけじゃない。


でも、


確実に、


前とは違っていた。


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