「占」
「……戻れなくなるって、どういう意味だよ」
思わず聞いていた。
占いのやつは、少しだけ首を傾げる。
「言葉通りです」
「だから、それじゃ——」
「これ以上は言えません」
ぴしゃりと遮られる。
それ以上踏み込むな、という空気だった。
「……はい、終わりです」
淡々と告げられる。
気づけば、手のひらにじんわり汗をかいていた。
「行こ」
つばきが軽く肩を叩く。
ガヤガヤ
外に出ると、さっきよりも人の声が大きく感じた。
現実に戻ったはずなのに、
どこか、足元が不安定なまま。
「変なこと言われた?」
つばきが覗き込んでくる。
「……別に」
反射的に逸らす。
「ふーん」
それ以上は聞いてこなかった。
少しだけ、助かった気がした。
でも、
「ねえ」
つばきが、ふと立ち止まる。
「なに」
「さっきの占い」
振り返ったその顔は、
いつも通りのはずなのに───
「当たってた?」
一瞬だけ、
あの冷たい目と重なった。
「……っ」
言葉が、詰まる。
あのときの声。
「何も見てないでしょ」
頭の奥で、はっきりと響く。
「……当たってねえよ」
なんとか絞り出す。
「そっか」
つばきは、それだけ言って、
少しだけ笑った。
少し沈黙になった。
「……なあ」
気づけば、また呼び止めていた。
「ん?」
「お前ってさ」
言いかけて、止まる。
────何を聞こうとしてるんだ、俺は。
「……なんでもない」
「なにそれ。言い出したなら言ってよ」
つばきは呆れたように笑う。
そのまま歩き出す。
その背中を見ながら、
胸の奥が、ざわついたまま収まらない。
(……占いの結果は違うはずなのに)
「つばきこそ占い当たってたのかよ。」
つばきは振り返る。
「普通の人って言われたよ。」
「は…」
声が漏れる。
「何かあるの?」
「いや、別に」
あの占いはなんなんだ。
俺はいつもと同じで、
でも、違う。
「……俺は」
小さく呟く。
「何を見てたんだよ」
その答えは、
まだ、出なかった。
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