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王城への招集

AI学習禁止/無断転載禁止/無断翻訳禁止/朗読等の無断使用禁止



連載を始めました。よろしくお願いいたします。


「すまないリーシャ」

「いえ、大丈夫ですよお爺様。負傷することなどないのでしょう?」

「そうなのだが……王城の招集には例外がつきものでな。困ったときはわしの名前を出して逃げるのじゃよ」

「はい、お爺様。逃げ足だけは鍛えられましたので」

「こんな時にぎっくり腰とは……」


1週間後、王城に来て待機してしてほしい。魔術師が魔力切れになることはあっても、負傷することはない。ただ万が一にも負傷してしまうことがあると困るので治癒院長のアッシュが控えてくれると助かる。


そんな手紙が届き、準備をしているところだった。しかし、治癒院に来る患者の対応をしなければならない。たまたま大柄な患者を運ぼうとしたときにぎっくり腰になってしまったのだった。

治癒術でも治るが、アッシュの年齢では自然治癒のほうが予後がよいだろうとの判断で王城へは孫のリーシャが向かうことになった。

リーシャは治癒術に長けているだけでなく、逃げ足が速い。これは戦場で足手まといにならずに逃げることができる最大のメリットだった。王城には治癒士を囲い込みたい輩も多く、逃げ足が速いことは重要であった。


「それでは行ってまいります!」


いつも通り、マジックバッグを持ち、ローブを纏う。マジックバッグの容量は魔力量によるが、リーシャの魔力量があれば、治癒に必要なものはすべて詰めることができた。

王城までの道のりも慣れたものである。最近は定期的に開かれる予算会へ院長代理として出席しており、王城どころか目的地の会議室までスムーズにたどり着くことができた。いつも貴族からの声掛けを躱すところだが、誰からも声をかけられなかったことを少し怪訝に思いながら進むと、見知った声が聞こえた。


「あれ? リーシャが来たのか」

「ハルクも呼ばれたの?」

「何かまたとない機会だからウェルガー様が来てみなよってさ。それよりリーシャはどうしたんだ?」

「まぁ、ウェルガー様からのお誘いなのね。私はお爺様の代理よ。ぎっくり腰になってしまわれたから」

「それは災難だったな。お爺様にはお大事にと伝えておいてくれ。会場はあちらのようだから向かうか」


ハルクに倣い、階段を降りる。ハルクは学園を主席で卒業した魔術師だった。魔力量も多く、魔術に長けており、守備攻撃ともに申し分ない。公爵の第三子ということもあり、第三王子であるウェルガーの護衛の1人となっていた。

ちなみにウェルガーは剣術に長けており、剣士として学園を卒業した。しかし王位継承権を持っていることから、王族として王宮で公務を担っていた。


かなりの階段を下った後、大きな扉が現れた。扉の前には王国魔術師団や、王国騎士団が並び、待ち構えていた。更に宰相や公爵も揃い、神妙な面持ちでいた。宰相はリーシャを見て声をかける。


「ん? リーシャが来たのか。アッシュは?」

「治癒院長は直前でぎっくり腰になりまして、代理で参りました」

「ぎっくり腰か……まぁ仕方ない。念の為待機してもらうだけだ、リーシャでも問題ないだろう」

「ありがとうございます」


リーシャは宰相の言葉から、今日は自分の出る幕はないだろうと、王国騎士団の後ろに並ぶ。見学に来たハルクも隣に並んだ。


「皆、揃ったか」

「ハーベル殿下。はい、揃いました」

「では開けるぞ」


ハーベルは扉の横にある台に手をかざすと魔力を流した。するとゆっくりと扉が開いた。


「魔術師団長、頼んだぞ」

「はい、ハーベル殿下。皆、位置につけ」


魔術師らが、部屋に入り、先に決められていた位置につく。


「あれは王族の魔力に反応する扉か。あの魔法陣もすごいな……」

「ハルク、状況はどうだい?」

「ウェルガー殿下。順調そうに見えます。ただ、あの魔法陣、初めて見ました。これから何をするんでしょう?」


ふらっと現れたウェルガーは、扉の中の部屋を見て頷いた。


「そこはハーベル兄上の領域だからな」


ハーベルは第一王子でありながら、魔術研究をしており、よく魔術師団に顔を出していた。これから行われることもハーベルが主導らしいとのことだった。


「では、始める」


魔術師団長の声を合図に魔術師たちが魔力を魔法陣に注ぎ始めた。魔法陣が光り、光りすぎて部屋の中が真っ白にしか見えなくなった。

そして、光が消えた時、誰かが立っていた。


「久しぶりだな、ハーベル」


魔法陣の中央に立つ人に声をかけられたハーベルは目を丸くした。

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