会長を探して
「会長、何処だ?」
休み時間、ルビーを探す為、二年生の多い、ミラリス魔法学校、本校舎二階へとやって来たレイン。
謝るなら早く済ませておいた方が良い。
レインはルビーを探して二年生に声をかけた。。
「あの、すいません」
「ん? どうしたんだい?」
「ルビー会長を探しているんですけど……」
「は、君かい? 山積みになったノートを運んでいる男は?」
「え、そうですけど……」
「悪い事は言わない。今直ぐ、二年生のいるエリアから出るんだ」
「え? なんでです?」
「実は朝からルビー会長が君の事を探していてね。会長にはファンも多い、そのファン達が君の事を捕まえようと躍起になっているんだ」
「え? 僕の事を探してですか?」
「そうだ。もう二年生のいるエリアは駄目だ。今直ぐ、この場所から逃げるんだ!」
「そんなゾンビ映画みたいな状況なんですか」
でも、一刻も早く会長に謝らないと。
「では、俺は忠告したからね。さようなら」
「あ、ちょっと待って下さい〜」
声をかけた二年生は去ってしまった。
どうしよう。早く会長に謝りたいが、忠告も気になる。
一体、どうしたら……。
「さっきの話し聞かせて貰ったわよ」
迷うレインの背後から声がかかる。
「は、貴方は?」
「私はルビー会長ファンクラブ、No125 ミラーナよ」
「み、ミラーナさん」
ルビー会長のファンクラブの会員がレインに声をかけて来た。
「僕に何の用です?」
「貴方を捕まえ、ルビー会長に差し出すわ。食らえ! トリモチだん!」
ミラーナは巨大なバズーカ砲を構えて、発射。
巨大なトリモチがレインを捕らえた。
トリモチのせいでレインの身動きが取れなくなってしまった。
「し、しまった」
「ククク。このトリモチは自分では剥がせないわ。落としくルビー会長の目の前に差し出されなさい!」
レインはトリモチを剥がそうとするが、身動きを取れば取るほど、トリモチは絡まっていく。
不味い、このままでは本当に捕まってしまう。
もし捕まれば謝罪する事は不可能だ。
なんとしても抜け出さないと。
「ククク。ルビー会長に差し出されるのよ、貴方は」
ジリジリとミラーナがレインに近づいて来る。
くっ、このまま捕まるくらいなら。
レインは覚悟を決めた。
「確かに、さっきの二年生の言う通り、会長に会うのは一筋縄では行かなそうですね」
「ふん。貴方は会長の前に差し出されるのよ。何もさせない!」
「いえ、僕は会長に会ってみせます。そして謝罪してみせる!」
レインは覚悟を決めた。そして魔法の杖を取り出す。
「杖を取り出して、どうする……は! まさか貴方」
生半可な覚悟では会長の元に、たどり着く事は出来ない。
何かを得る為には何かを犠牲にしなくては。
「レ・ファイアブル!」
レインは自らに向かって炎の魔法を放つ。
これがレインの覚悟。自らを犠牲にトリモチを焼き尽くした。
「く、なんて覚悟なの。恐れ入ったわ」
ミラーナは炎のせいで視界が見えない。
レインはその間にトリモチから脱出。
ミラーナから逃げ切った。
「う、思ったより炎のダメージがデカイな」
見事、ミラーナから逃げ切ったレインは二年生のいるエリアの廊下を歩く。
正直言って炎の魔法のダメージはデカイ。
しかし会長には会わないと。
「どうしたんだい? 君」
ダメージを負ったレインに二年生が声をかけて来た。
何故か彼はジュースサーバーを背負っている。
「いえ、ちょっと会長を探してまして」
「そうなのか。ルビー会長なら、B組にいるよ」
会長はB組にいる。
これは耳寄りな情報だ。
「B組ですね。ありがとうございます」
「ちょっと待ちなさい。君、ボロボロじゃないか」
ジュースサーバーを背負った二年生はレインがボロボロな事に気付いているようだ。
「いえ、ちょっと色々ありまして」
「では、これを飲むと良い」
二年生はジュースサーバーを降ろしコップにオレンジジュースを入れてレインに飲ませる。
「うん、これ美味しい!」
こんな美味しいジュースは初めてだ。
レインはその美味しさに舌鼓をうつ。
「僕のジュースは特別製だからね。回復効果もあるんだ」
確かに、このジュースを飲むとレインの身体がみるみるうちに回復していくのが分かった。
服も怪我も治って行く。
「ありがとうございます。これで会長の元へいけそうです」
「頑張るんだよ」
レインは回復してくれた二年生にお礼を言って去っていく。
凄くありがたかった。凄くありがたかった。
だけど、何故、彼はジュースサーバーを背負っていたのだろう?
レインは、その疑問が消えなかった。
「は、会長がいる」
B組の前でルビー会長が雑談をしていた。
これは謝るチャンス。
そう思いレインはルビーに声をかける。
「あ、すいません、会長」
「は、君は!」
「あの、昨日の事なんですが……」
ルビーの姿が消えている。
あれ、さっきまで目の前にいたのに。
レインは周りを見渡しルビーが何処にいったのか確認した。
「は、あんな所に」
いつの間にか、ルビーはレインから、かなり離れた階段の踊り場に移動していた。
そのままじっと、こちらを睨んでいる。
あ、謝る事すらさせてもらえない!
勿論、ルビーはレインに一目惚れしてしまい、会うのが気恥かしくなっただけである。
しかしレインは、そんな事は知らない。
レインはルビーに完全に嫌われたのだと思ってしまった。
「あそこよ。居たわ」
前方からミラーナが大軍を引き連れ、こちらに向かって来ている。
このまま捕まる訳には行かない。
レインは一旦この場を去る事にした。




