出会いは突然に
「え〜、これ運ぶんですか?」
レインの前には山積みになったノートがあった。
トール先生曰く、これを運んで欲しいとの事である。
正直言って面倒くさい。
「ほほほ、貴方は寝ていてばかりですからね。たまには、こういう事もしないと」
「う、それはそうですが……」
実際、授業中寝てばかり居るのは事実。
こういう事で点数稼ぎをしないと目をつけられる。
「じゃ、運ぶとしますか」
レインは渋々ではあるが、ノートを運ぶ事にした。
「うーん。残念だが、生徒会に入れたい生徒は居ないな」
面接を終えたルビーは廊下を歩いていた。 面接には実に様々な生徒が来てくれたが、正直言って生徒会に入れたい生徒は居ない。
もっとこう居ないだろうか。稲妻が走るような、この人となら一緒に生徒会活動をしたいと思えるような。そんな生徒は。
しかし、中々難しい。そんな出会いは滅多に無いだろう。
「ハリス校長には、やはり私一人で、生徒会活動を行うと報告しておくか」
やはり自分は一人で十分。
ルビーはそう思いながら、廊下を歩いて行く。
丁度、その時、目の前から山積みになったノートを一生懸命運ぶレインがいた。
彼はノートのせいで前が見えない。
一方のルビー。彼女も、また面接に来た人の中から、やはりもう一度会ってみたい人物は居ないかと考え事をしていた。
ノートを運ぶレイン。考え事をしているルビー。
どちらも前方不注意であった二人は、廊下で、思い切り衝突をしてしまった。
「きゃあ」
ルビーはレインとぶつかり廊下に倒れ込む。
レインも、またノートを崩し廊下に倒れ込んでしまった。
「す、すいません」
「いや、私こそ、済まな……」
その時ルビーに稲妻が走った。
なんと、かっこいい顔だろうか。
レインの顔を見たルビーの感想だった。
視界が変わり胸が高鳴る。
いつまでも、この顔を見ていたい。
ルビーは、その事で頭が一杯になった。
いわゆる一目惚れである。
「すいません。僕は、これで!」
レインは大急ぎでノートを積み上げ、ルビーの元を去って行く。
「なんて、かっこいい生徒なんだ」
ルビーは、ボソッと、そう呟いた。
「はぁ、昨日は、やってしまった」
レインはトボトボと歩きながら、登校していた。
昨日、山積みになったノートを運びながら、前が見えないとはいえ、あのルビー会長にぶつかってしまった。
完全無欠の生徒会長。素晴しい噂も聞くが、同時に少し怖い噂も聞く。
不良を全治二ヶ月にしただの、強盗をボコボコにしただの。痴漢を消滅させただの。
なるべく関わらないようにしていたレインにとって昨日の事は、かなりやってしまっていた。
「もし会長にあったら謝らないと、いや会わないようにする方が良いのか?」
そんな事を考えながらレインは自分の教室へと入った。
「ねぇ、次は、この呪文を試そうよ」
「えぇ、植物を操る呪文、ちょっと危険じゃないか?」
教室の中ではミラリス魔法学校の生徒達が次はどんな呪文を試そうかと談義をしている。 彼らは小学校の頃から魔法を習っているが、専門的に学ぶのはミラリス魔法学校が初めてであろう。
幼少期から魔法を仕込まれ、そんなウキウキ感など等に無くなったレインと違い、彼らは浮かれていた。
そのウキウキな生徒達を尻目にレインは憂鬱な気分で席に着く。
今日も寝よう。そう思い目を潰れとした、その時。
「あ、レイン君」
一人の女子生徒がレインに声をかけて来た。
「はい。なんです?」
「そういえば、ルビー会長が、レイン君の事探していたよ」
「え」
ルビー会長が自分の事を探している。
正直言って嫌な予感しかしない。
「な、何故です?」
「さぁ、分かんないけど、レイン君何かしたの?」
何かしたと言われれば何かしたとは思う。
まさか、昨日の事、そんなにお冠なのか?
レインは授業態度も決して良いとは言えない。
その事も含めお冠なのだろう。
「ヤバい。会長に謝罪しないと!」
レインは、そう決意する。




